女性の下腹痛

外来診療目利き術より

女性では産科婦人科疾患を念頭に置く必要があります。我が国の1509例の婦人科急性腹症の内訳をみると、女性の下腹部痛では骨盤内炎症性疾患、異所性妊娠、卵巣出血、卵巣のう腫茎捻転の4つを考えます。

性行為歴、月経歴の確認が大切です。ショックや致死的な経過をたどる可能性がある異所性妊娠をまず念頭に置きましょう。また、妊婦では妊娠合併症として産科医に連絡が必要です。「性交後の突然の右下腹部痛」といえば卵巣出血です。月経歴を確認することで、卵巣出血も排卵前後に前後に起こる卵胞出血と黄体期(予定月経の1週間前)に起こる黄体出血の鑑別が可能です。PIDは性活動性の高い女性に起こりやすく、パートナーや職業について確認しましょう。卵巣嚢腫茎捻転では、突然発症の片側下腹部の激痛に加えて、卵巣嚢腫や子宮内膜症の既往歴が役立ちます。