嘔吐のある腹痛にはご注意を
外来診断 目利き術より引用
腹痛と嘔吐が同時に起こる機序として、①腹膜または腸間膜の神経に対する過剰な刺激、②不随意筋からなる管腔臓器の閉塞、が考えられます。
閉塞で嘔吐が誘発されることは容易に想紀できると思います。また腹腔神経叢への刺激でも嘔吐は誘発されます。腹腔神経への刺激が強い病態、たとえば消化性潰瘍穿孔では、急激な痛みとともに嘔吐がよくみられます。また膵炎では反射刺激が強く、嘔吐を繰り返すことも多いです。
嘔吐の性情を確認することも重要です。黒色嘔吐があれば上部消化管出血を想起します。小腸閉塞では嘔吐の性状が食物残渣→胆汁様→便汁様と変化します。
虫垂炎と鑑別が必要な憩室炎や骨盤内炎症性疾患は疼痛の性状からの診断が難しい時、後者では嘔吐が少ないという点が参考になります。