水をたくさん飲めば、腎機能が保たれるわけではない

メディチーナ 2013年9月号より

 患者指導の一貫として脱水予防に飲水励行を行うことがあるが、これは根拠に乏しい。脱水症や体液量欠乏がある、またはおこしかけている場合は別として、食事摂取や飲水が保たれ、高度な体液喪失がない状況で飲水励行しても腎機能が高くなるわけではなく、逆に腎機能を悪化させるリスクさえある。さらに、過度の飲水はマラソンランナーの高度低ナトリウム血症の原因として知られているし、高度ストレス時など抗利尿ホルモン過剰状態でしゃ、低ナトリウム血症のリスクを高める。
飲水励行は普段から行うよう指導するのではなく、高温・多湿環境・運動時など不感蒸散や発汗が多い場合などに喉の渇きをいやす程度に限定し、病的な食事摂取量・飲水量の低下時や高度体液喪失時は飲水励行以前に医師にかかるよう指導すべきである。

涼しいクーラーが効いた部屋にいるのに、やたらに飲水励行を指導されているケースも多い。