山中克郎先生の講演会

県立二葉の里病院にて 2025年5月8日

ケース1 ビタミンB1欠乏症

症例は71歳女性 食欲不振が主訴

・1週間前からの認知症? ・作話 ・眼振(両方向 注視方向性) ・指タップテスト陽性(小脳障害

関連して

ビタミンB1欠乏症は多い。わずか1-2週間の欠乏でなりうる。つわりでさえ起こし得る。見逃されているケースが多いのではないか。

②ウェルニッケ脳症(1)さくらん (2)運動失調 (3)眼筋麻痺 ・・・多くの症例は、錯乱のみ

原因は、アルコール多飲、癌、AIDSなど

③コルサコフ症候群(作話)・・・ここまで進行すると、治りにくい。亡くなる人も多い。

④血清のビタミンB1は、計測してもあまり意味なし。疑えば、治療を優先する。

⑤指タップテストは、小脳を調べるテストだが、頚椎症や、パーキンソンなででも使える。

⑥ビタミンB1欠乏所見 (1)脳症 (2)高拍出性脳症 (3)胃腸脚気・・・吐き気、嘔吐、腹痛、ひどい便秘など

⑦治療可能な認知症を調べるべし。・・・神経梅毒、うつ病、高齢者てんかんなど

⑧高血圧症 ちゃんとした計測がされているか?手首のは良くない。アメリカ内科学会は150/90以下でよしとしている。 ARBを使わず、ACEを。カルシウム拮抗薬は、浮腫や便秘や逆流性食道炎の原因となりやすい。むしろサイアザイドを用いる。

ケース2 静脈不全

症例は82歳女性 両下肢の浮腫み 高血圧、心不全、心房細動あり

3日前から発熱と下腿発赤(右足の腫れ、発赤)、色素沈着

関連して

①静脈不全は多い。診断のポイントは内果の静脈瘤。下腿潰瘍が多い。下腿潰瘍があれば70%は静脈不全。

②静脈不全の原因・・・運動不足、長時間の立位、

③浮腫の種類・・・非圧痕性(甲状腺機能低下症、リンパ浮腫)

数日で全身性浮腫・・・急性糸球体腎炎

肺腺癌は、深部静脈血栓症をおこすことがある。

④治療は、下肢挙上、運動、かかと上げ、歩行、減量、男性ストッキング、保湿剤。 利尿剤は使わない。最初だけ効く。

ケース 3 尿失禁

症例は76歳女性 頻尿と排尿時痛 抗菌薬が効かない。 下腹部の圧痛。→ 骨盤性器脱+萎縮性膣炎

高齢女性の萎縮性膣炎による膀胱炎は多い。

エストロゲン膣錠 2週間の治療をすると良い。

外陰部にワセリンを塗るのも良い。

関連して

①普通抗利尿ホルモン(バゾプレッシン)により夜間は尿へ行かないしくみになっている。 高齢ではバゾプレッシンの分泌が低下する。

②夜間頻尿の原因は、高血圧、心不全、腎不全、SAS, 前立腺肥大症、 水分摂り過ぎなど。