骨粗しょう症ではコラーゲンに注目すべし

ドクターサロン 2025年4月号より

東京慈恵会医科大学 整形外科教授 斎藤 充先生

斎藤 古くは、骨というのはカルシウムだけで、それが少ないと骨が折れるということで診断や治療が進んでいたのですが、カルシウムが多くても骨が折れる人が後を絶ちません。骨というのはカルシウムだけではない、それ以外の素材が何かあるのではないかと研究をしていました。

そうすると、体積当たりでいうと半分、骨は棒状のコラーゲンでできていることがわかりました。ですから、鉄筋に相当するコラーゲンが錆つけば、コンクリート、いわゆるカルシウムが多くても建物はたおれてしまうということから、骨密度以外に骨のコラーゲンを弱くしてしまう因子の研究を進めてきました。

それが酸化ストレス、活性酸素の上昇です。糖尿病、CKD、COPDといった生活習慣病に罹患している方は、骨密度が高くても折れるということで、すでにガイドラインにも出していますし、海外にも学会の委員会としてパースペクトビーを出しています。

骨というのは、大人になると骨のサイズは同じですが、そのままだと老朽化してしまいますし、カルシウムの貯蔵庫ですから、それを放出するために新陳代謝をしています。実は大人の海綿骨は、年間40%入れ替わります。皮質骨は7%ですが、それだけ入れ替わるので、薬がすごくききやすい。NNT(number needed to treat)という薬の効果を見る数で言いますと、一桁から二ケタなんですね。

この後、骨代謝マーカーの話、各種薬剤の話。

女性の長期間にわたる鉄・蛋白不足がコラーゲン合成低下の主因であろう。生理がある年代の女性の爪(ケラチン蛋白)はだいたいふにゃふにゃ。

まず薬物より栄養だと思う。