スタチン治療下での中性脂肪管理の意義:アポリポタンパクBと中性脂肪の関係からみえるもの
日本内科学会雑誌 2025年2月号より 川崎医科大学 下田将司ら
目的 中~高強度スタチン治療を受けLDLコレステロール70㎎/㎗程度に管理された中性脂肪高値かつHDLコレステロール低値の2型糖尿病患者を対象としたPROMINANT試験では心血管疾患抑制効果は確認されなかった。そのため、厳格なLDLコレステロール管理下における中性脂肪管理の意義を検討することを目的とし、LDLコレステロール管理状況および脂質治療薬使用状況別の中性脂肪とアポリポタンパクBの関係の関係を検証した。
方法 2型糖尿病で教育入院された453例を対象にLDLコレステロール管理状況および脂質治療薬使用状況別にアポBとその他脂質代謝指標の関係を解析した。
結果 453例中、脂質治療薬無 235例、あり218例(スタチン投与 92%)で、有群でより高齢で糖尿病罹病期間は長くCVD既往歴は多かった。453例の各脂質指標中央値は、総コレステロール 170、TG 115、HDL-C 42、LDL-C 96, nonHDL-c 121であり、有群ではLDL-C , nonHDL-cが有意に低値であった。アポBと中性脂肪の関係をLDL-C管理状況別に検討すると、脂質治療薬なし群ではLDL-C 70未満、100未満、140未満、140以上のすべての区分で両者間に有意な相関をみたが、有群ではLDLーC 70未満群において相関性が消失した(r=0.16, p=0.27)。
総括 スタチン主体の脂質治療にてLDLーC70未満を達成した場合は中性脂肪とLDL粒子数の関係が減弱し、中性肥脂肪管理によるCVD抑制効果に影響を及ぼす可能性がある。
とても興味深い論文だが、わかりにくい。 つまり、スタチンでLDLを70程度に下げても、アポBや中性脂肪が増加したままで、心血管疾患を抑制しない、ということか。