プロトンポンプインヒビターと慢性下痢

下痢が続く年配の方がおられます。タケルダ内服中。試しに中止してみる事になりました。

病理検査の玉手箱より

全身性の動脈硬化性疾患などが背景にあり慢性の腎機能低下を起こしている患者で,特定のプロトンポンプ阻害剤(PPI)を長期内服している人では慢性下痢症状を訴えることが多い.このような場合,常にcollagenous colitisを念頭に大腸生検の診断を行うことが肝要であろう.昔はほとんど経験しなかったが,最近は頻繁に遭遇する疾患となった.PPIの添付文書にも『下痢が継続する場合,内視鏡検査では腸管粘膜に異常を認めないが,組織学的に大腸粘膜下に膠原線維束の肥厚や炎症細胞の浸潤を伴う大腸炎を発現している可能性があるため,速やかに本剤の投与を中止すること』と書かれている.下痢症状に電解質異常が加わると,ときに命にもかかわるのがcollagenous colitisである.この副作用について処方医はもっと注意すべきであろう