かかりつけ医研修会・・・糖尿病について

12月20日に行われた日本医師会DVD講習。(2019年作成)

1.糖尿病

①糖尿病患者の寿命は男性で平均より8歳、女性で11年短縮させる。

最近注目されている合併症は、歯周病、がん、認知症、うつ病、骨粗しょう症、脂肪肝炎、過活動膀胱、関節疾患など。

予備軍と呼ばれる境界型の段階から心血管疾患、認知症、がん等のリスクが高まる

④経過:発症10年以上前から血糖値は正常範囲内であっても高いことが多い。インスリン分泌の低下に伴い、まず食後血糖値が上昇し、その後空腹時血糖値が上昇する。

⑤糖尿病患者の死因・・・40%が癌で亡くなり、最大

⑥身体所見のポイント・・・水虫が多い。甲状腺疾患が多い。歯周病。皮膚疾患や関節疾患もある。

⑦3大合併症の頻度。発症25年でおよそ神経障害50%、網膜症40%、腎症30%と覚える。

糖尿病患者において糖尿病性網膜症がなければ、糖尿病性腎症はない」・・・これはローレンスティアニーのパール

⑧足のつりには・・・タウリン 1回1グラムを1日3回食後

⑨血液透析には一人年間500万円の費用がかかる。

 

➉糖尿病性腎症の特徴

・糖尿病を発症後5-10年しておきる(網膜症、神経障害合併例が多い)

・持続的なタンパク尿出現後、平均10年、クレアチニン2㎎/㎗になってから平均2年で透析

・透析後の予後が悪い(5年生存率50%)

以下は糖尿病以外の腎症を疑う

血尿、顆粒円柱が出現

・発症後数年でタンパク尿が出現

・発症後10年以内にネフローゼ症候群が出現

 

 

⑪糖尿病性腎症の薬物治療

・ARB,ACE-i

・クレメジン、必須アミノ酸

・ジピリダモール

・二次性副甲状腺機能亢進症による低カルシウム血症 ・・・活性型ビタミンD

・代謝性アシドーシス・・・重曹

 

 

⑫糖尿病と骨・・・1型糖尿病、骨折のリスク約7倍

2型糖尿病・・・骨折のリスク約1.7倍

原因として・・インスリン作用不足は骨量を減らす。血糖値が高いと骨質が低下する。転倒しやすい・・交感神経異常、ふらつき、低血糖

 

⑬フレイルと栄養

・タンパク質摂取量が少ないほど、将来的な除脂肪体重の減少が大きい。

・低アルブミン血症はフレイル、サルコペニア、ADL低下、認知症、早期死亡のリスク。

・高齢者は1-1.2グラム/体重のタンパク質摂取が必要。

・朝食のタンパク質摂取量が少ないとフレイルになりやすい。

・ビタミンDは筋肉量の減少、体幹動揺性に関連

・・・神経・筋肉の協調作用(中高年の半数がビタミンD不足)

・ビタミンAが欠乏すると脂肪肝、筋肉にも関係

・血中ビタミンE濃度が高いとフレイルになりにくい。

・オメガ3系不飽和脂肪酸による欣郁タンパク質合成増加作用。

・フレイル状態にあるほど善玉腸内細菌が減り、悪玉菌が増える。

・ロイシンにより、タンパク合成が高まる(大豆、乳製品、白身の肉)

・ビタミンA,ビタミンB2、パントテン酸不足と認知機能低下は関連。