創造的な環境
[amazonjs asin=”4878934735″ locale=”JP” title=”エリック・ホッファー自伝―構想された真実”]
上記より引用
バークレーの冬の数ヶ月は、人とのめぐり逢いという点で収穫期や砂金取りの時期に比べて、はるかに充実していた。バークレーには、あのエル・セントロの季節労働者キャンプとかなり似たところがあり、どちらにも創造的な刺激と緊張がある。この驚くべき類似を説明するには、創造的な環境として小都市が果たす役割に触れるべきであろう。
文明はシュメールの小都市で生まれ、エルサレム、アテネ、フィレンツエ、アムステルダムといった小都市で進歩した。創造の担い手は個人である。創造的な環境の中で、個人は自らのアイデンティティを意識しつつ、共同体と結びついた生活を送ることができる。村では個人は共同体に埋没してしまうし、大都市では個々の人間が共同体を形成するのは難しい。つまり、村でも大都市でも、人とのめぐり逢いの可能性は小さい。バークレーも季節労働者キャンプも、その小都市の長所を備えていたのである。
コメント: 大都市で個々の人間が共同体を形成するのが難しい、と書かれています。私は大都市に住んだことがないので、いまひとつピンときません。村で自由な発言がしにくいのはよくわかります。
バークレーはサンフランシスコ(人口80万あまり)から約1時間のところに位置する、人口10万人あまりの街です。ヒッピー文化発祥の地、政治的にはリベラル、カリフォルニア大学バークレー校が有名。ソーダ税をアメリカで初めて導入した。先進的な場所としてアメリカ中から一目おかれているよう。
位置関係としては、広島市と可部(可部は広島市ですが)くらい。人口的には広島市(約100万人)と三原市(10万人)くらいの関係。 とはいっても、サンフランシスコ周辺の人口が700万人以上もあるので、規模的には愛知県ぐらいで巨大。大都会から少し離れた都市、という感じでしょうか。
大都会であればあるほど創造に有利なのかと思っていましたが、このホッファーの見解は興味深かったです。