医術について・・・モンテーニュ

モンテーニュ エセーより

私は医術については、いいとも悪いとも、何とでも信ずる。ありがたいことに、医術と私はたがいに何の交渉もないからだ。わたしは他の皆とは逆である。私は常に医術をばかにしているからだ。いや、病気になると、仲直りするどころか、かえってこれを憎み、恐れだすのである。そして薬を飲めと強いられると、せめて体力と健康を取り戻して、薬の作用と危険にもっと耐えられるようになるまで待ってくれと答える。

私は自然のなすがままに任せる。そして私は、自然は歯と爪をそなえていて、自分に襲い掛かってくる攻撃から身を守ることもできるし、また自分の組織を維持して分解させないようにすることもできるのだ、とはじめからきめてかかっている。私が恐れるのは、自然が病気とつかみ合い、取っ組み合いの格闘をしているときに、われわれが自然を助けるかわりに、その敵を助けて、かえって自然にとって新しい重荷になるのではないかということだ。

 

モンテーニュの時代(1533年- 1592年)から比べると、はるかに医学は進歩していますが・・・。
現代でもこの考えに一定の正当性があると思います。

役立つ医療行為はたくさんあり、役に立たない医療行為もたくさんあり・・・。

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