人間と遊び
下より引用
人間が絵を描き、木や石を刻み、彫刻することを学んだのは、器を作ったり、衣服を編んだり、家畜を飼ったりする以前のことである。芸術家としての人間は、労働者としての人間よりもはるかに古い。数千年にわたる人間の営みは過酷なものであったと思われがちである。初期の人間の生活は、夜休むときに翌朝生きているかどうかもわからず、いかにして食い殺されずに食べて生きていくかという問題につねに直面していただろう。想像を絶するほど厳しく、危険で暴力的かつ長い闘いであったろうと、われわれは思い描く。しかし、人間が生き残り、環境を支配していくことを可能にした才能、技術、習慣の起源をさかのぼると、われわれはいつも遊びの領域に到達する。実用的な工夫や発明の大半は、もともと非実用的な追求のなかから生まれた。最初の家畜である子犬はさほど有用ではなかったが、最高に遊び好きな動物であった。人間の創作力や洞察のひらめきは必要に迫られているときにではなく、不必要なものや贅沢なものに手を出すときに訪れる。遊びは労働よりも古く、芸術は実用品の製作よりも古い。人間は必要に迫られてしたことよりも、むしろ遊びながらしたことによって形作られた。かくして、人間が人間化したのは穏やかな自然に恵まれ、全力を尽くしてたたかう必要の無い環境においてであったろうと容易に推測できる。人間は荒廃した戦場よりも、むしろエデンの園のような場所で進歩を遂げたのである。
遊びって大切ですね。
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