Sugar metabolic syndrom in the Mouth(糖質過多と口腔疾患)

ORTHOMOLECULAR MEDICINE FOR EVERYONより

虫歯と歯周病は、現代の食事(糖質過多で線維が少ない)により引き起こされる。数千年前の食事と現代食の比較、あるいは今日の様々な人びとの食事の比較によって、歯と歯肉の病気の原因は明らかである。新石器時代の英国の虫歯の有病率は4%である。彼らの歯の繊維質をすりつぶす部分は摩滅している。一方で、現代人の虫歯は歯間におこる。ローマ帝国支配下の英国では、虫歯の有病率が12%へ上昇する。ローマ人は高度に精製された小麦粉と甘い食品をもたらした。ローマ人が去った数百年後には、虫歯の有病率は5%へ低下した。16世紀に入ると、砂糖が安く大量に摂られるようになり、虫歯の有病率は再度上昇する。現代の英国では、50歳までに人口の半数がすべての歯を失う。

これらが示しているのは、高度に精製された食品をとらなければ虫歯になりにくいが、現代食を摂取しはじめるとすぐに、劇的に虫歯が増加するということである。歯肉あるいは歯周病は虫歯と関連する。

虫歯および歯周病と食事について、明らかな証拠があるにも関わらず、納得せず反論する人々が沢山いる。アリストテレスは2000年以上前に、食物の滞留(特に甘い食品)が虫歯の原因ではないかと疑ったが、虫歯の予防のために砂糖を控える人は少数であった。砂糖への渇望(中毒性)が大変強いため、多くの人々はそれを有害と考えることができなかったのだ。その代償は、痛み、不快、病気と大変高くついた。

歯と歯周病の最初のステージはプラークの形成から始まる。プラークとは、ゼラチン状のポリサッカライドのフィルムに包まれたバクテリアの塊と蛋白質が歯に付着したものである。バクテリア(細菌)は砂糖を酸へとかえ、エナメル質を侵食する。ある種の食品は非常に虫歯を作りやすい。最悪なのはスクロース(テーブルシュガー)である。小麦粉はそこまでは悪くはないが、全粒粉よりは良くない。全粒粉を含め、おそらくフィチン酸を多く含むものは、抗虫歯作用を有する。

口腔内の清潔も予防となる。 クリーニングと定期的プラーク除去、虫歯の原因となるジャンクフードを避ける、全粒粉を摂ること、繊維質に富む食品、一般的に細菌に対する免疫力を強めること。フッ素の水道水添加については、虫歯予防効果が誇張されていることと、歯肉に対して効果がないことが問題であると考える。水道水中のフッ素は、歯の汚れを少し減らすが、歯肉に対する効果はない。フッ素添加水を飲んだ人は、一生涯で0.5本分詰め物をした歯が少ない。フッ素を信頼すると、砂糖への警戒心が弛緩する。実際にヨーロッパの国はすべてフッ素の添加を中止している。

歯肉と虫歯は歯の喪失につながる。これは生涯を通じた咀嚼障害と義歯生活をもたらす。適切に咀嚼されていない未消化な食材が消化管へ送り込まれる。

別の歯周病の原因は、アスコルビン酸とナイアシンの不足である。古典的壊血病(ビタミンC欠乏症)の症状は、歯肉出血、腫脹した痛みを伴う歯肉である。古典的壊血病は稀であるが、subclinical scurvy(潜在的壊血病)は一般的である。ビタミンC療法で歯肉の状態が改善することがよくある。しかし、ナイアシンについてはあまり知られていない。ナイアシンは、プラーク除去などの口腔内クリーニングの替わりとはならない。しかし、口腔ケアや清潔を保っても歯肉炎が改善しない場合、ビタミン療法は考慮されるべきである。様々な栄養素の不足が、口腔内の症状を引き起こす。例えば、リボフラビン(B2)欠乏は口角炎、舌炎を引き起こす。ピリドキシン(B6)欠乏も同様に、口角炎と舌炎を引き起こす。

 

 

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