壊死性軟部組織感染症の診断におけるピットフォール
日本内科学会雑誌 2023年11月号より
⑴発熱の欠如・・・壊死性軟部組織感染症患者では、救急外来や術後に非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)が自己投与または処方されるため、発熱がない事が多い。C.sordelliiによる壊死性感染症でも発熱はみられない。
⑵特徴的皮膚所見の欠如・・・深部南部組織で発症する自然発症または潜在性壊死性感染症(すなわち、明らかな細菌侵入口を伴わない感染症)の患者は、しばしば毛会の紅斑になるまで皮膚に感染徴候を認めない。
⑶疼痛をけがや処置のせいだと決めつける・・・・壊死性感染症患者のおいて、激しい痛みは重要な所見である。しかし、このような感染症が手術や分娩後に発症した場合、痛みが手術そのものに起因すると誤って判断されることがある。同様に、会陰部痛は、痔、精巣上体炎、膣や直腸の外傷に起因するおkとがある。自然感染や陰窩感染に伴う激しい痛みは、筋緊張や静脈血栓症に起因すると誤って判断されることが多い。疑われる原因と比例しない痛みや、管理にオピオイドやケトロラクが必要な場合は、壊死性感染症の発症を考慮すべきである。麻薬やNSAIDsの使用や、糖尿病患者の神経障害のために痛みがない場合もある。
⑷非特異的な画像所見・・・・壊死性感染症患者では、X線写真は浮腫のみを示し、深部組織にガスがあることを示さないことがある。この所見は、非感染性の原因(例えば、軟部組織の損傷、術後及び分娩後の状態)と一致するため、診断を混乱させる可能性がある。
⑸全身性の症状を他の原因によるものとする・・・吐き気、嘔吐、下痢は、A群連鎖球菌感染症による中毒の初期症状である可能性があるが、食中毒やウイルス性疾患によるものと誤って考えられることが多い。
診断のポイントを絞るとすると、激しい痛み、だろうか。