熱傷の湿潤療法

ドクター夏井の熱傷治療裏マニュアルより引用・・・2011年3月初版

全国各地の大学病院や熱傷センターで「Ⅲ度熱傷で皮膚移植をしないと治らない」との診断をうけた多数の患者が、筆者と同じ治療を行っているクリニックを訪れて治療を受け、その全例が保存的治療で皮膚移植もせずに完治し、特別な感染対策をまったくとっていないのに創感染をほとんど発生していないのだ。しかも、治療をした医師は熱傷治療の経験がまったくない内科医や小児科医なのである。

 

考えてみるとかなり異常な事態である。大学病院や熱傷センターで熱傷治療専門医が治療すると皮膚移植が必要になったり感染症により死亡したりするのに、熱傷治療の知識が全くない医師が治療をすると皮膚移植せずに治癒し感染症も起きないのだ。要するに、専門医が治せない熱傷を素人が治しているようなものである。

この異常事態をどう解釈したらいいのだろうか。可能性は1つしかない。標準的治療が根本から間違っているのだ。間違った治療法だから患者の状態が悪化し、感染症を起こして患者が亡くなったのだ。標準的治療よりはるかに成績のよい治療法が存在するという事実は、これ以外では説明できないのである。