慢性腎臓病とミネラル異常

日本臨床内科会誌 2024年12月号より

CKDでは、ミネラル代謝調節系に異常が生じ、骨代謝、血管石灰化、生命予後などに関連する。この病態をCKDに伴う骨ミネラル代謝異常と呼ぶ。

CKD患者では、以下の機序により、ミネラル代謝調節に異常が生じる。

⑴腎障害により腎からリン排泄能が低下

⑵対照的にFGF23(リン利尿因子)の産生増加

⑶FGF23は腎臓でのビタミンD活性化を抑制し、PTHが上昇

⑷腎障害が進行すると、FGF23,PTHの作用によってもリン利尿ができず、高リン血症になり、腎臓でのビタミンD活性化がさらに抑制

⑸活性型ビタミンD低下によるカルシウム吸収低下⇒低カルシウム血症

⑹PTH分泌がさらに刺激され、二次性副甲状腺機能亢進症が進行し、このPTH上昇により、リン利尿およびコツから血液へのカルシウム流入が促進

⑺骨病変が進行

上記病態を抑制するために、血清リン、カルシウム、PTH値を、各施設の基準値内にコントルールすることが望ましい。血清リン、カルシウムは、CKDステージG3aから測定を開始し、G3では6-12か月ごと、G4では3-6か月ごと、G5では1-3か月ごとに測定する。PTH値はG3でベースライン値を、G4では6-12か月ごと、G5では3-6か月ごとに測定する。その管理は活性型ビタミンD製剤、食事療法によるリン制限、リン吸着薬により行う。

ナイアシンは腎臓病患者のリン値を下げる作用があるらしい。

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