気管支喘息とその周辺疾患

日本内科学会雑誌 2024年10月号より

・アレルギー性真菌性副鼻腔炎・・・耳鼻科医がみている疾患らしい。

気道に腐生した真菌に対する免疫反応を主病態とする下気道疾患にアレルギー性気管支肺真菌症があり、その類似性が指摘されている。20-30歳代くらいの比較的若年でアトピー素因を有する患者に多く、AFRSの喘息合併率は4割前後とされる。末梢血の好酸球数は高値でないことも多いが、総IgE値は500-1000IU/ml程度に増加する。鼻内所見で、ピーナッツバター様と形容される粘ちょうな粘液が認められる。(診断には病理あるいは、真菌特的IgEの証明など。)

・アスピリン喘息・・・救急外来で時々遭遇する。ひどい喘息発作

発症形式は、嗅覚低下(鼻茸)や鼻腔鼻腔症候群で初発し、2-3年以内に長引く乾性咳嗽や喘息発作で発症するのが典型的である。非アトピー型、通年性の喘息、末梢血好酸球増多、嗅覚異常のほか、鼻茸を合併した場合、可能性が高いと考えられる。

アドレナリンの筋注を行う。ステロイドはリン酸エステルタイプ(デカドロン、リンデロン)を用いる。

 

・好酸球性多発血管炎肉下腫

かつてチャーグストラウスといわれていた。喘息や鼻副鼻腔炎が出現し、その後好酸球増多をきたし、最終的に血管炎を発症するという3つのステージがみられることが典型的とされている。

ANCA 30-50%で陽性。

先行病態として、ほとんどの例で好酸球増多が目立つ重症喘息があり吸入ステロイド薬では安定化せず、血管炎発症前から内服ステロイドの頻回投与を要することが多い。特に誘因なく好酸球増多がさらに顕著となり、全身血管炎症状が発症する。また喘息とともに好酸球性肺炎や好酸球細気管支炎が先行する例が20-30%ある。発症時は多発単神経炎を90%以上の症例で認め特異性が高く、末しょう血好酸球の割合は40%以上をしめすことがほとんどである。典型例では垂れ足により階段昇降が困難となり、足底や手指のしびれを訴える。