クロピドグレルによりインスリン自己免疫症候群を発症した1例

広島医学会雑誌 2024ナンバー7号より
角 美里 (東広島医療センター)他

以下引用

 抄録 症例は73歳女性。インスリン注射歴はない。一過性黒内障、脳虚血発作を繰り返し、その都度抗血小板剤を変更され治療を続けていた。空腹感、冷汗、動悸などが頻発するため近医を受診したところ、発作性の低血糖、高インスリン血症を指摘され、当院外来を紹介受診した。インスリン抗体が上昇しており、インスリン自己免疫症候群を疑った。被疑薬のクロピドグレルを、バイアスピリンに変更し、経過をみたところ、低血糖症状は次第にみられなくなり、インスリン抗体も低下した。クロピドグレルは活性代謝物がSH基を持ち、インスリン自己免疫症候群の発症に係ると考えられている。本症例では、約2年の間隔をおいて2回クロピドグレルを投与されているが、初回投与時には低血糖症状を認めず、2回目の投与時に低血糖症状を認めた。クロピドグレルによる自己免疫症候群の報告は少ないが、抗血小板薬として用いられることが多く、低血糖症状をみとめた場合には、インスリン自己免疫症候群を考慮する筆意用がある。

SH基を持つ薬剤と関連性があるという。チアマゾール、チオブロニン、グルタチオンなど。 時にインスリン自己免疫症候群の方がおられ、血糖コントロールが難しい。