なぜ内科医が育たないか?

medicina  Vol.50 No1より 上野文昭医師

内科とは、内科医とは?

内科は英語でInternal Medicneかもしれないが、内科という診療科はDepartment of Medicneである。つまり内科はMedicineそのものである。内科医はInternistかもしれないが、Physicianとも呼ぶ。つまり内科医とは医師そのものである。

なぜ内科医が育たないか?

患者を含め社会は実地診療医よりも医学研究者のほうが偉いと考えている。専門領域の医師のほうが幅の広い医師よりも知識は豊富で医療技術もすぐれていると考えている。したがって、多くの患者は専門医の診療を求める。

実態はどうであろうか、専門医はその領域のみしか知識と技術をもたないことすらある。患者は自分の身体の壊れたパーツを勝手に決め込み、そのパーツ修理に長けた医師を受診するという悲惨な状況にある。

一部の領域を掘り下げて学ぶほうが、広い範囲の知識を得るよりもずっとたやすい。苦労して広い知識を習得しても、社会的評価を得られないのであればなおさらのことである。これが患者の全体像を診る事のできない偽専門医が後を絶たない主因であり、不幸な現実の被害者である社会に対してもっと啓発活動が必要と考える。