糖尿病の食事療法 日本内科学会 創立120周年記念誌より

上記より引用

日本糖尿病学会は、糖尿病患者の食事療法に役立つ刊行物として「糖尿病食事療法のための食品交換表」を発刊してきた。これはPFCバランスが同様な食材をグルーピングすることで、食材を1-6までに分類し、日々、同じPFCバランスで目標摂取カロリーを摂るなために必要な食材の選択に役立たようとする意図がある。この方針のもとに、2002年「糖尿病食事療法のための食品交換表 第6版」を発刊し、これが糖尿病の食事療法のスタンダードとして用いられてきた。

この際、1日の目標とする摂取カロリーはBMI22を目標体重とし、日常生活の労作量に応じてエネルギー係数を下記のように設定し、1日の適切なエネルギー量=目標体重xエネルギー係数の計算のもとにエネルギー摂取量を決めていた。

PFCバランスに関して、日本人の平均的な摂取PFCバランスから、炭水化物摂取量は50-60%、タンパク質は標準体重1kgあたり1.0-1.2g、残りが脂質となるが、総エネルギー量摂取量の25%以上となる場合には過剰分は不飽和脂肪酸で摂取することを勧めてきた。

しかし、実際にはこの設定カロリーは、多くの方において、治療カロリーよりも大幅に少ないため、若年者、壮年期の人においては継続することが困難であった。また、高齢者において、この設定カロリーを指導すると、体重が減少し、サルコペニアが進展する可能性があることが危惧された。さらに、多くの人が自宅で料理した食事よりも中食、外食を摂取する機会が増え、食材から考える食事療法の必要性が軽減したころ、嗜好の問題から、設定されているPFCバランスを保ったまま食事を継続することが難しいことなど様々な問題が指摘されてきた。特に、2010年頃から、総カロリーの設定をせず、糖質を極端に設定し、あとは自由に食事を摂取する低糖質食が日本で広く知られるようになり、これまでの画一的な食事療法ではない、患者の病態や嗜好も加味した食事療法の個別化の重要性が認識されるようになった。

そこで、2019年、日本糖尿病学会は糖尿病診療ガイドラインを改訂し、糖尿病の食事療法における総摂取カロリーの目安として下記のように記載している。

省略

また、栄養素摂取比率に関しては下記のように記載している。

糖尿病の予防・管理のための望ましいエネルギー産生比率について、これを設定する明確なエビデンスはない。

・患者の身体活動量、併発症の状態、年齢、嗜好性などに応じて、適宜、柔軟に対応する。

 

コメント:いろいろと記述されているが、”糖質制限”とは言いたくないようですね。