多系統萎縮症にQ10治療
神経難病「多系統萎縮症」の世界初の治療法開発~東京大学らのグループ
High-dose ubiquinol supplementation in multiple-system atrophy: a multicentre, randomised, double-blinded, placebo-controlled phase 2 trial
Methods
This study was a multicentre, randomised, double-blinded, placebo-controlled phase 2 trial. Patients with MSA were randomly assigned (1:1) to either ubiquinol (1500 mg/day) or placebo. The primary efficacy outcome was the change in the unified multiple system atrophy rating scale (UMSARS) part 2 at 48 weeks. Efficacy was assessed in all patients who completed at least one efficacy assessment (full analysis set). Safety analyses included patients who completed at least one dose of investigational drug. This trial is registered with UMIN-CTR (UMIN000031771), where the drug name of MSA-01 was used to designate ubiquinol.
保険薬ノイキノン(いわゆるQ10:酸化型)はユビデカレノン10mgを1日に3回が規定量。
臨床試験ではユビキノール(還元型のQ10)を1日1500㎎ 48週間使用。
サプリは1カプセルが100mgでいわゆるQ10。
Q10を用いても、結構コストはかかりそうである。(東京大学は市販薬で治療をしないように言っている)
スケールでは有意差を認めているが、ユビキノール投与群も点数がかなり低下しているので画期的な治療法とはいえないのではないか。
ケトン食、他のビタミンを高容量で用いる、グルタチオンなどの合わせ技なら、より効果が期待できるのではないだろうか。
(2) 研究の内容
基礎研究によって見出された新しい治療法の有効性を科学的に証明し、保険適用の中で使え
るようにするためには、治験と呼ばれる厳密に管理された環境下で行われる臨床研究を行う必
要があります。今回、研究グループは、多系統萎縮症に対する高用量のユビキノールの有効性
と安全性を検討するために、多施設共同プラセボ対照二重盲検比較試験を実施しました。この
治験は、辻省次東京大学名誉教授を調整医師、三井純特任准教授を責任医師として、東京大学
医学部附属病院臨床研究推進センター(センター長 森豊隆志教授)の全面的な協力のもと、
医師主導治験として 2018 年に開始されました(UMIN-CTR: UMIN000031771)。国内の 13 施設
が参加し、合計 139 人の多系統萎縮症患者が参加しました。主要評価項目として設定された運
動症状の指標である統一多系統萎縮症評価スケール・パート 2 スコア(注3)の 0 週から 48
週までの平均変化量は、プラセボ投与群が 7.1 点に対して、ユビキノール投与群では 5.4 点で
した。両群の差は-1.7 点(95%信頼区間は-3.2 点から-0.2 点)、統計学的な検定では p 値
0.023 と有意な差を認めました。治験薬との因果関係が否定できない有害事象の出現頻度は、
ユビキノール投与群(23.8%)、プラセボ投与群(30.9%)と同程度でした。
(3) 今後の展望
これまで、様々な治療法が多系統萎縮症に対して試みられてきましたが、有効性を示す結果
を得た研究は存在しませんでした。従って、今回の治験の対象となった患者群で多系統萎縮症
の運動症状の進行抑制を支持する結果を初めて見出した先駆的な研究と言えます。