脂質栄養学
2016年4月初版 学者が誠実に著した書籍だと思う。
上記引用
その摂取量が非常に少ない日本人での飽和脂肪酸をめぐる問題は、依然として残された課題であるとの印象が強い。いずれにしても、飽和脂肪酸だけに絞ってきた対応の限界を改めて認識して議論し直す必要があることはたしかであろう。
コメント:そもそも、欧米人用の栄養学を日本人に適応したのが大きな間違いであった。当然考えるべきことが、検討されていなかった。
健常者にとっては、コレステロール代謝のホメオスタシスの観点からは、良質のたんぱく質を含み、ビタミン、ミネラルの供給源である鶏卵を避けることは賢い対応ではない。しかし、一旦しみ込んだ盲信からなかなか脱却できないのが現実でもある。
コメント:半世紀にわたる呪縛なので、簡単には解けない。
日本人において、飽和脂肪酸摂取量が少ないと脳卒中、とくに脳出血の罹患や死亡が増し、逆に心疾患は低下することが認められているが、動物実験では飽和脂肪酸摂取量を増やしても脳出血が予防できることは示されていないので、諸外国の基準を参考に決められている。
コメント:動物実験にそう意味があるとは思えない。(マウスやラットを使った実験が多い。)
PFCエネルギー比の視点からは、肥満の改善のためには、低炭水化物・高脂肪食が勧められ、エネルギー比で60%以上の炭水化物の摂取は決して最適ではない。
・・・このように、食事の基本となるPFCについても、常識的理解では対応できないようである。
コメント:人間の食性(原始人食)を検討すれば、低糖質が基本と考える。臨床経験からも。
脂質の摂取基準の歴史的背景を顧みると、われわれはある意味では「まさに非常に大規模なスケールの無調整・無確認の国家的介入試験の被験者(モルモット)となってきた」ともみなされる。
コメント:新型コロナmRNAワクチンと同様に。時を経て、本当の評価が下される。
低炭水化物・高蛋白食・高脂肪のアトキンス食が体重低下にもっとも有効であった。しかも、この食事は飽和脂肪酸含有量が最大であるにもかかわらず、血液中のトリグリセリドの低下、HDLコレステロールの上昇、血圧の低下の割合はいずれも最大で、血液インスリン濃度の低下割合も最高であり、高炭水化物食よりはむしろ好ましい状況にあった。LDLコレステロール濃度もとくに上昇することはなかった。(なお、一般に高脂肪食ではLDLが上昇する傾向にあるが、粒子径が大きいLDLの上昇であり、動脈硬化発症のリスクは低い。)
コメント:今の医学生は、上記や糖質制限について学んでいるのだろうか?
再掲 栄養学論争 – 伊藤内科医院 (itonaika.in)
知られていない事実 2014年3月
1.日本人の脂質摂取量(飽和脂肪摂取量)・・・平均55g前後(飽和脂肪酸20g前後)
2.欧米人の脂質摂取量(飽和脂肪摂取量)・・・日本の約2倍
3.戦後日本人の平均寿命が延びたのは脂質および蛋白質摂取量が増えたためであること。
4.脂質摂取量が40グラムをきると危険であると考えられていること。(ハワイの日系人の研究から)
5.日本人の70代の脂質摂取量が男性約45グラム、女性が約39グラムであること。