2013年2月11日

長らく「鶏卵はコレステロール含有量が多いので、狭心症や脳梗塞などの方は控えるべきである」という食事指導がなされてきました。

しかし、この考えは近年修正されてきています。

以下日経メディカルの記事より

鶏卵の摂取量は冠疾患や脳卒中と関連せず

鶏卵の摂取と冠動脈疾患や脳卒中の関係を検討した前向きコホート研究のメタアナリシスの結果が、BMJ誌1月12日号 に発表された。

研究対象は、12年6月までにPubMedもしくはEmbaseに登録された論文やレビューの中から条件を満たした8つの論文(17の独立した報告を含む)を解析した。冠動脈疾患に関しては308万1269人年を解析対象とし、5847人が発症した。脳卒中に関しては414万8095人年を解析対象とし、7579人が発症した。

限定3次スプラインモデルを用いて解析したところ、鶏卵の摂取量が増えても冠動脈疾患の発症リスクは上昇しなかった(P=0.67, for non-linearity)。また、1日1個鶏卵の摂取量が増えた場合の冠動脈疾患の相対リスクは0.99(95% CI 0.85-1.15, P=0.88 for linear trend)だった。

脳卒中でも同様に、鶏卵の摂取量が増えても発症リスクは上昇せず(P=0.27 for non-linearity)、1日1個鶏卵の摂取量が増えた場合の脳卒中の相対リスクは0.91(95% CI 0.81-1.02, P=0.10 for linear trend)だった。

さらに、研究の行われた地域、性別、フォローアップ期間の長さ、血清中のコレステロール値などで補正しても同様の結果となった。著者らは鶏卵の摂取量は1日1個を上限とすれば、冠動脈疾患や脳卒中の発症リスクは上昇しないと結論した。(日経メディカル 2013.2 P123)

付け加えるなら、サブグループの解析では糖尿病のグループでは鶏卵摂取量の多いグループで冠動脈疾患のリスクの上昇が、また鶏卵摂取量の多いグループで出血性脳卒中のリスク低下を認めたようですが、さらなる検討が必要と述べています。

Conclusions

In summary, results from our meta-analysis do not support that higher egg consumption is associated with elevated risk of coronary heart disease and stroke. Subgroup analyses suggest a positive association between higher egg intake and risk of coronary heart disease in diabetic patients, and an inverse association between higher egg consumption and incidence of hemorrhagic stroke. Studies with larger sample sizes and longer follow-up times are warranted to confirm these subgroup results.