備忘録 骨粗しょう症の分子標的治療薬

ドクターサロン 2021年8月号 埼玉医科大学 田中 伸哉 先生

抗RANKL抗体・・・デスノマブ・・・商品名プラリア(6か月に一度投与。低カルシウム血症をおこす可能性があるのでカルシウムとビタミンDを併用する。)
抗スクレロスチン抗体・・・ロモソズマブ・・・商品名イベニティ(やはり低カルシウムの危険性)

整形外科医に治療の継続を依頼されることがあります。新薬はあまり気が進みません。

ビスホスフォネートは骨粗しょう症治療におけるアンカードラッグと考えてよいと思います。日本では活性型ビタミンD、それからvitaminD誘導体といったものが治療薬として使われていますが、カルシウムやvitaminDは骨粗しょう症の基本として常に充足されるべきものであり、活性型ビタミンD誘導体の使用は限定的にすべきだと思います。

コメント:活性型ビタミンDに批判的な専門医の意見を始めて聞きました!
栄養療法に取り組む立場としては、タンパク質、ミネラル、ビタミンKなども重要。

 

はい、カルシウムを充足することが基本です。vitaminDの活性化障害がある症例に限定して活性型ビタミンDを投与すべきです。

コメント:当然のことではありますが。

 

デスノマブは最終投与から8か月以上たつと、多発椎体骨折の危険性が上昇する。基本的に中止できない。

コメント:やめてはいけない薬、という時点で納得しがたい気持ちになる。

 

ロモソズマブ
これが発売されて2020年の3月で1年になるわけですが、その間に99例の心血管イベントが報告されています。そのうち64例についていは併用薬が書いてあるのですが、その64例のうちの42%は活性型ビタミンDが入っているのです。つまり、そういう方々には十分なカルシウムが投与されていなかった可能性があります。

コメント:いずれにせよ、骨量を改善させる内服治療を行うときには、カルシウムの補充がないと思わぬ副作用が起きうる、ということのようです。