タミフルの深い闇・・・ ERのTips DEEP APPROACH EVIDENCEより

2018年1月30日 再掲

ERのTips DEEP APPROACH EVIDENCEより

結果は本文記載の通り、症状緩和までの時間短縮効果はあったが限定的で、重症化や入院を防ぐ効果は無く、予防に関しても患者の自己申告データをそのまま使用するなど、科学的信頼度に欠けていると報告しました。それだけでなく、腎障害が2%にあり、1%に精神症状があることがわかり、予防のために健常者に服用させることは危険であると結論づけたのです。

ここまでは比較的知られている事実ですが、実はここからが日本人があまり知らない事実です。コクランチームはその後、英国の国営放送であるBBCなどに呼びかけ、BMJと一緒にマスメディアから国民に向けてWHOのよびかけが、根拠不十分なデータをもとにした論文のために5億ポンド(約925億円)が無駄になった、と報じ、英国のガーディアン誌はこれを受けて、100万人にタミフルを処方すれば、4万5千人が嘔吐し、3万1000人が頭痛を訴え、1万1000人に精神症状が出る。もしインフルエンザの大流行が始まったら、英国には5000万人分のタミフルがあるから、すごい嘔吐量になる、と皮肉って報じました。

一方日本ではどうでしょう。公共放送で報道されることもほとんどなく、冬場になると「タミフルください」という健常者が土日も夜間も医療機関にあふれています。ノイラミニダーゼ阻害薬はタミフルに限った話ではありませんが、タミフルの世界シェアの75%は日本で販売されている事実には深い闇が潜んでいそうです。 2016-2017年には、このタミフルの特許がキレ、ジェネリック薬の製造が可能になります。医療を提供する側としてER担当医歯、科学的試験に基づいた患者教育を含めて、社会の窓口としての対応が迫られています。