認知症の勉強会(主としてアルツハイマー病について)

大変期待されたアミロイドベータワクチンは大失敗に終わり、期待できる治療法の候補すらない状況のようです。
アミロイド仮説は100年以上たっていますが、予防法も十分でありません。
20年前に医者になったときと、代わりばえしないと思います。
長時間がかかっておきてきた病気(ある意味老化そのもの)なので、治療効果が出にくいのです。
近年は栄養療法に取り組む方々が増えているので、30年後には栄養療法の効果が判定されるのではないかと思います。

①認知症の有病率  65-69歳では約2%。 80-84歳では約20%程度。95歳では90%近く。

コメント:長く生きれば、人事ではない有病率の高さです。

②アルツハイマー病の遺伝性 日本では、あまりない。

③アルツハイマー病の特徴  運動野は障害されにくく、歩行などに問題がきにくい。

④ アルツハイマー病の検査 アミロイドPET、タウPET検査により、脳内の物質の蓄積が可視化できるようになった。

⑤ダウン症候群の患者は、若年性アルツハイマーになりやすいことがわかってきた。これは、トリソミー21により、APPが人の1.5倍あるからと考えられている。

⑥アミロイドベータワクチンが、この20年あまり大変期待されていたが、結局すべて失敗に終わった。もうこの治療法に期待はできないだろう。(マウスのアミロイドβを減らすことができていた。)

⑦認知症の予防 糖尿、インスリン抵抗性、高血圧の予防。

⑧ 食事・・・地中海食が推奨される。(1.5-3.5年ほど発症がおそい) 久山町研究では、大豆、野菜を増やし、ごはんを減らすとよいという結果が出ている。 マウスの実験では、高脂肪食により脳内の老人斑が増加。

コメント:穀物食の動物に高脂肪食の実験は不適切ではないか。

⑨運動は、老人斑を減らすと考えられている。

⑩外傷が認知症の原因となる。アメリカンフットボールの引退した選手が若年性アルツハイマー病をおこし、訴訟になっている。 脳震盪を1度でもおこしたら、引退したほうがよいのではないかという考え方もある。

⑪睡眠状態がよいと認知症になりにくい。

難聴対策が有効であると2017年にWHOがアナウンスしたらしい

コメント:すぐに、亜鉛が有効なのではないかと思いました。認知症の発症前に嗅覚異常が出現するのも有名。

⑫「100才の美しい脳」いわゆるナンスタディーの話題。20歳のときの言語能力、意味密度の大きさが将来の認知症と関係する。要は、頭がよい人は多少衰えても、残った能力でカバーしてしまう。本を読むのが大切だが、スマホが・・・。

⑬アルツハイマーは20年の時間を経て発症する。中年期からの対策を要する。遅くとも50歳から対策をとりたいところ。

⑭脳細胞は、ずっと同じものが使い続けられるので、物質が蓄積していく。