ビタミンB2の発見

月間保団連 2019年6月号 ビタミン発見物語 笠原 浩 著より引用

 成長促進因子の発見
1919年にアメリカの生化学者トーマス・B・オズボーンは、「水溶性B」の2つの作用、すなわち脚気などの多発神経炎に対する効果と動物の成長を促進する効果は、それぞれ別個の因子によるものではないかと考え、酵母の抽出液を加熱したところ抗多発性神経炎因子は活性を失うが、成長因子はそうではないことを見出した。
1926年にはコロンビア大学のヘンリー・C・シャーマンが、前者は有機溶媒に溶けやすく、熱やアルカリによっても分解されやすいが、後者は熱に安定で、まったく別の物質であることを明らかにした。
彼は抗多発性神経炎因子をビタミンF、成長促進因子をビタミンGと予防としたが、翌年の1927年にイギリス医学研究会議の副栄養素委員会が前者をビタミンB1、後者をビタミンB2とすることを提案し、それが受け入れられて、この名称が定着した。

リボフラビンの同定
1933年、ハイデルベルヒの科学者リヒャルト・クーンが同地の大学の小児科医パウル・ジェルシーとともにビタミンB2の科学的解明に取り組み、単離・構造決定・合成に成功して、リボフラビンと命名した。この物質は蛍光を発する黄色色素であり、現代では安価に合成できるので、多くの食品に着色料として添加されている。なお、水溶性ビタミンは過剰に摂取してもすぐに排泄される(B2では尿が黄色になる)ので、脂溶性ビタミンのような過剰症の心配はないと刺されている。

クーンはビタミンAや後述するビタミンB6の合成にも成功していて、1938年にノーベル化学賞を受賞した。ちなみに、彼がビタミン豊富な食品として、ホウレン草などの有色野菜の摂取を推奨したことが、漫画の主人公ポパイの元気と怪力の素のヒントになったという。

そもそも発見のきっかけが、その欠乏がラットの成長を阻害することだったので、ビタミンB2は当初は「発育ビタミン」と呼ばれた。エネルギー代謝、物質代謝に関与していて、ヒトを含めた動物の正常な成長発育を助けている。眼、口腔粘膜、皮膚などの上皮を保護する作用もよく知られているところで、欠乏すると角膜炎、口角炎、口唇炎、舌炎、脂漏性皮膚炎などが生じる。活性型B2のFADは、グルタチオン還元酵素の補酵素、体内にできた過酸化脂質の分解を促進している。

口唇炎の改善

B50コンプレックスによる尿の着色の原因。エネルギー代謝に関与しており重要。症状としては口角炎が有名。