難治性てんかんと低糖質・高脂肪食 再掲
以下再掲
2016年9月15日成人の難知性てんかん発作減少に低糖質・高脂肪食が有効
映画「誤診」をちらっとみていて思いました。大変感動的なストーリーですが・・・・。
よく考えると、何も遠くのジョンズホプキンスまで行かなくても、ケトン食はどこだってできるんですよね。
かっこいい神の手の外科医のところに行くわけではないですから。再掲 2014年12月01日 Medical Tribune誌 2014年11月27日より
米中部大西洋沿岸てんかん・睡眠センターのPavel Klein氏らは、ケトン産生食あるいは修正アトキンス食が成人の難知性てんかん発作に与える影響を検討した研究をレビューし、低糖質・高脂肪を特徴とするこれらの食事療法がてんかん発作の減少に有効である可能性が示唆されたとNeurology(2014;83: 1-8)で報告した。
成人を対象とした検討は限定的
世界保健機関(WHO)によると、世界全体で約5,000万人がてんかんに罹患している。米食品医薬品局(FDA)は過去20年間に抗てんかん薬として16製剤を承認しており、そのうち5製剤は新規の作用起序を有する。しかし、これらの薬剤を用いても発作が治まらない難知性てんかん患者が約35%存在することから、新しい治療法が求められている。
ケトン産生食は高脂肪・低糖質を特徴とし、脂質と炭水化物+たんぱく質の重量比を4:1または3:1に設定して、約90%のカロリーを脂質から摂取する(典型的な米国の食事の炭水化物・脂質・タンパク質からのカロリー摂取率は、50、35、15%)。制限が多く複雑なケトン食を簡便にしたのがアトキンス食であり、難知性てんかん患者の実施が容易なようにさらに改良したものが修正アトキンス食である。修正アトキンス食では、1日の炭水化物摂取量を15-20gとし、脂質と炭水化物+タンパク質の重量比を1:1に設定する。
Klein氏等によると、これらの食事法は小児の難知性てんかん患者でしばしば検討され、有効性が示されてきたが、成人における検討は限られており、全て非盲検の研究である。したがって研究間の異質性が高いため、今回のレビューではメタ解析を行わず、個々の研究ごとに検証することとなった。
3割の患者で発作頻度が半減
解析対象は成人の難知性てんかん患者においてケトン産生食を検討した研究5件47例と、修正アトキンス食を検討した研究5件85例のデータ。結果を総合すると、ケトン産生食群の32%、修正アトキンス食群の29%で、発作頻度が50%以上減少し、それぞれ9%と5%で発作頻度の減少が90%を超えた。
いずれの食事法でも鎮痙攣効果は数日~数週間で迅速に発現し、長期間持続した。ただ、小児の場合と異なり、食事法を中止したあとも効果が持続することはなかった。副作用はいずれの食事法でも軽度かつ同等の頻度で、もっとも重度のものが脂質異常症だが治療中断で解消した。また、最も多い副作用は体重減少であったが、これは肥満患者にとっては有益とも考えられる。
成人での実施で最も重要な障壁は、登録率の低さと中止率の高さである。総合すると、登録基準を満たす患者のうち参加に同意したのは3分の1~7分の1であった。また、ケトン産生食群の51%と修正アトキンス食群の42%が、試験終了を待たずに中止していた。 Klein氏らも{残念ながら、これらの食事法は制限が多く複雑であるため、長期の実施率は低い。ほとんどの人は最終的に料理面での制約や社会的制約を理由に中止している}と認めたうえで、{しかし今回の研究は、こうした食事がてんかん患者に対する選択肢の1つとして中等度から非常に高い有効性を持つことを示している。効果は迅速に発現するため、挑戦してみたい患者はまず実践し、長期継続するか否かはそれから決めればよい}と述べている。