高齢者ET症例の特徴とマネジメント
日本内科学会雑誌 2026年7月号より
一般的に高齢のET症例では、ドライバー変異としてJAK2V617F変異を有する例の比率が高く、逆にCALR変異陽性例は少ないとされる。また、TP53変異やいわゆるエピジェネティック制御やRNAスプライシングに関わる分子の変異、すなわち非ドライバー変異の陽性率も高いことが知られている。国内外のガイドラインにおいては、60歳以上のET症例に対しては、抗血小板療法に加え細胞減少療法を行うことが推奨されている。細胞減少療法として、現在国内ではハイドロキカルバミドとアナグレライドの2つの選択肢がある。日本血液学会の造血器腫瘍診療ガイドラインにおいては、この2剤についてどちらもカテゴリー1の推奨となっている。ANAについては、不整脈や心不全リスクがあるため、高齢のET症例においては、使用を控えるとの考えも示されている。実際に、ヨーロッパでのETに対する大規模な観察研究であるEXCELS試験においては、80歳以上の症例の多くがHUで治療を受けていたい。ANAとHUを比較し、心毒性に相違はないとの報告もあるが、高齢で心血管リスクのあるET症例にANAを用いる場合には心電図や心エコーなどで慎重にモニタリングを行うことも推奨されている。HUについては、高齢者では二次性腫瘍と関連性が懸念される。しかし、最近の報告では骨髄性白血病やリンパ系腫瘍も含めHUの使用と二次性悪性腫瘍との関連は否定的とされている。ただし、長期間のHU使用はメラノーマ皮膚悪性腫瘍発症のリスクとする報告はいくつかある。高齢者では日光角化症の発症率が高いこともあり、頭部や顔面などの筆耕暴露部対策およびこれらの部位の皮膚変化に注意を払う必要がある。