鉄剤の使用が低リン血症をひきおこす

日本内科学会雑誌 2026年4月号より引用

「術前検査で判明し、含糖酸化鉄の関与が疑われた低リン血症の2例」

近年頸静脈投与の高容量鉄剤が普及しつつあるが、従来型の含糖酸化鉄(SFO)の使用頻度も依然として高い。SFOは低リン血症による重篤な症状を引き起こす可能性がある。特に高齢者では慎重な使用と、使用後のリンのモニタリングが求められる。今回、SFO投与後に低リン血症を呈した高齢者2例を報告する。

ポイント ・SFOは現在も広く使用されている鉄の注射製剤ではあるが、SFOによる低リン血症のリスクは臨床現場で十分に周知されているとはいいがたい。

・実際に経験した2症例を通じて、SFO関連の有害事象(低リン血症)への注意喚起を行う。

はじめに

近年、鉄欠乏性貧血に加え、高容量の投与が可能な注射製剤(フェインジェクト、セノヴァー)や、リン吸収抑制作用を併せ持つ内服クエン酸化第二鉄水和物(リオナ)などが使用されている。鉄剤投与後に発症する低リン血症では、腎臓でのリン再吸収を抑制するホルモンFGF23上昇の関与が指摘されている。特に消化器疾患の既往を持つ症例では、SPO投与後のFGF23関連低リン血症の報告が散見される。今回、我々が経験した2症例も消化器疾患の既往がある症例であり、低リン血症の機序とともに報告する。

 

・フェロミアなどは酸化第一鉄で、リン酸の吸着はない。

・リオナは胃の不快が少ない利点がある。また、高リン血症の治療に用いられている。

 

・以下はチャットGPT

低リン血症になると、何が問題ですか

低リン血症(血清リンが低い状態)は、全身のエネルギー代謝に直結するため、意外と重要な異常です。軽度だと無症状のこともありますが、進むとさまざまな臓器に影響が出ます。


🔑 なぜ問題になるのか

リンは体内で以下に関わっています:

  • ATP(エネルギー)の産生
  • 細胞膜(リン脂質)の構成
  • 骨の形成(カルシウムとともに)
  • 酸塩基平衡の調整

👉 つまり、「エネルギー不足」と「細胞機能低下」が本質です。


⚠️ 主な問題点(症状・合併症)

① 筋肉・神経系

  • 筋力低下(特に近位筋)
  • 横紋筋融解(重症)
  • しびれ、意識障害、けいれん

👉 ATP不足で筋肉や神経が働かなくなる


② 呼吸

  • 呼吸筋の筋力低下
  • 人工呼吸器から離脱できない原因になることも

③ 心臓

  • 心筋収縮力低下
  • 不整脈

④ 血液

  • 赤血球の機能低下(2,3-DPG低下)
    → 酸素をうまく放出できない
  • 溶血

⑤ 免疫

  • 白血球機能低下
    → 感染に弱くなる

⑥ 骨

  • 長期では骨軟化症(骨が弱くなる)

🚨 特に注意が必要な状況

  • 血清リン < 2.0 mg/dL:症状が出やすい
  • < 1.0 mg/dL:重篤(緊急対応レベル)

⚡ 臨床的に重要なポイント

  • 再栄養症候群(Refeeding syndrome)
    → 栄養を急に入れるとリンが細胞内に移動して急低下
    → 不整脈・呼吸不全の原因になる
  • アルコール依存・飢餓状態・糖質投与後
    → 要注意

🧭 まとめ

低リン血症は単なる「数値異常」ではなく:

👉 エネルギー不足による多臓器不全のリスク

特に

  • 筋力低下(呼吸筋含む)
  • 心機能低下
  • 意識障害

が出てきたら、かなり重要なサインです。