気管支拡張症とNAC
日本内科学会雑誌 2025年10月号 より
気管支拡張症では、気道分泌物の喀出を促す粘液溶解薬が補助療法として用いられることがある。N-アセチルシステインは、グルタチオンの前駆体として抗酸化・抗炎症作用を発揮することが知られており、近年、その臨床効果が検討されている。
他施設ランダム化比較試験(BENF試験、中国)では、NAC1200㎎/日を経口投与した群で、増悪発生率の有意な低下が認められた。年間増悪回数がプラセボ群で198件あったのに対し、NAC群は131例であった(リスク比0.41、P=0.0011)。また、増悪リスクが約59%低減し、QOL指標(CATスコア)もNAC群で改善していた。安全性も重篤な副作用の報告はなく、NACの長期投与が気管支拡張症の増悪予防に有益である可能性が示唆され、特に中国では高容量NACの維持療法が実臨床に取り入れられつつある。一方で、欧米や日本におけるエビデンスは不足しており、地域ごとの追加試験が求められる。