重度のビタミンD欠乏と小腸切除、プロトンポンプ阻害薬内服を背景にMℊ・Ca・K低値を認めたクローン病の一例

日本内科学会雑誌 2023年10月号より

酒匂大輝ら

要旨 57歳、女性。クローン病にて小腸切除の既往があり、長期間ppIを内服していた。また、看護師として夜間業務に従事していた。冬季に入り手指のしびれとCK上昇を認め、血液検査で低Mℊ血症、低Ca血症を認めた。ビタミンD欠乏もあり、電解質やビタミンDの補充とPPIを中止することで電解質異常は改善した。短腸症候群、PPI、日光暴露の減少により電解質異常をきたしたと考えた。

 

ポイント

・短腸症候群では腸管切除部位により電解質やビタミンの吸収障害を生じる。

プロトンポンプ阻害薬の内服によりMℊの腸管吸収が低下する

・ビタミンDは腸管吸収および日光暴露による体内での生成により供給される。

低Mℊ血症はPTHの作用低下により低Ca血症を来す