ビタミンB3欠乏の精神症状
ケース① 80代男性
シェーグレン治療中。 口腔内のびらん、出血が著明で経口摂取ができず、末しょう静脈栄養とゼリーなどの流動食を摂取。入院1か月後から拒否や暴言。食事もせず。
ナイアシンアミド内服で落ち着き食事ができるようになった。ビタミンB3欠乏による易怒性と判断された。
ケース② 60代女性。12年前に胃全摘。
2年前から身の回りのことすべてが不安になり、食思不振。不眠症も起きている。かかりつけの精神科で全般性不安障害と診断された。
1週間前から身の置き所がなくなったとの訴えにより、救急外来を受診。ニコチン酸値が低値であったためナイアシンアミドを開始。不安症状が改善した。
抑うつ傾向や易怒性などの意識変容、不安障害などの精神症状のみの場合、高齢者うつや前頭側頭葉型認知症などと誤診されているケースもあるのではないだろうか。
コメント:B3は30-60日の経口摂取不良で欠乏するとのこと。ケース1は、前頭側頭葉型認知症っぽい。口腔内の状況が悪く、栄養不良が疑われる。
ケース②は胃切除後の病歴が大切。不安症。
いずれにせよ、ナイアシンアミドを試すべき状況は少なくないのだろう。