ハーバード大学精神科准教授 栄養精神医学を推進する
上記より
クリス・パーマー医師は昨年出版された「Brain Enegy」の著者である。
ハーバード卒でレジデンシーおよびインターンシップをハーバードで行った、25年目の精神科医である。 現在はマクリーン病院にてポスドク(大学院生)の研究指導も行っている。
20年前、20代にしてメタボリック症候群と診断された。そこでアトキンスダイエットを開始したところ、3か月で高血圧、高脂血症、低HDL血症が改善した。このときに、メタボだけでなく、体調および精神状態が劇的に改善したことに気づいた。(精神病ではなかったが)
18年前 治療抵抗性のうつ病患者を診察した。この時にケトジェニックダイエットを用いたところ、驚くことに改善した。
7年前に、慢性統合失調症患者の減量のために、ケトジェニックダイエットを勧めた。2週間後には抗うつ作用が認められた。6-8週間後には、幻聴や幻覚が消失した。患者は人前にでて発表までできるようになった。これまでのキャリアでそのような患者は見たことがなかったので、大変驚いた。
この経験が自分の医師としての方向性を決定的に変えた。
精神疾患研究においては、「どのような薬を作れるか?」に焦点があてられている。「ケトジェニックダイエット」を研究しても、パテントにもならず、金もうけにならない。
ケースの紹介
#1 (Eric westmanの患者)70歳女性。54年間の病歴の統合失調症患者。どのような治療も効果がなかった典型的な慢性統合失調症患者。 ケトジェニックダイエットで2週間で幻聴や幻覚が消失。6か月後には内服不要になった。14年後に84歳でコロナウイルス感染で亡くなるまで、健康状態を保った。14年間新しい人生の時間を持つことができた。
#2 裕福な家庭の子供(?)で双極性障害。40ほどのハイエンドの精神科医を受診して治してくれる医師をさがした。ドクターパーマーにたどり着き、ケトジェニックダイエットにより、寛解状態となった。患者は、「遺伝的なものである」「何もできることはない」などと説明されていた。彼は状態が良くなってきたときに、こういった。
「Oh my god!, for the first time in years, I think I might able to have a normal life!」
パーマー医師は大変悲しい気持ちにならざるを得なかった。
その他、PTSD, 人格障害、双極性障害、てんかん等についてもふれている。
コメント:精神疾患を診る機会がある医師は、この本は必読ではないでしょうか。(藤川徳美先生の書籍はいうまでもなく)
Dr. Christopher M. Palmer is a Harvard psychiatrist and researcher working at the interface of metabolism and mental health. He is the Director of the Department of Postgraduate and Continuing Education at McLean Hospital and an Assistant Professor of Psychiatry at Harvard Medical School. For over 25 years, he has worked with people who have treatment-resistant mental illness using standard treatments. He has been pioneering the use of the medical ketogenic diet in the treatment of psychiatric disorders—conducting research in this area, treating patients, writing, and speaking around the world on this topic. More broadly, he is interested in the roles of metabolism and metabolic interventions on brain health. He has developed the first comprehensive theory of what causes mental illness, integrating existing theories and research into one unifying theory—the brain energy theory of mental illness.