心をうつ言葉だけが味わいがある。

「エセー」モンテーニュ著 より

私の好きなのは、冗長なのよりはむしろごつごつした話し方であり、いささかも気取りがなく、型にとらわれない、きれぎれの、大胆な話方です。一片、一片がそれぞれに一体をなしていて、先生じみたり、修道士じみたりせずに、むしろスエトニウスがユリウス・カエサルの文章をそう呼んだように、「軍人らしい」話しかたを好みます。

(中略)

真理に役立つ話し方は、巧まずに、単純でなければならぬ。

(話し方にこる者は気取って話そうとする者に他ならない。)

雄弁が自分自身のほうにわれわれの注意をひきつけてしまうと、話の内容に害を及ぼします。

服装において、何か特別な、変わった様子で自分を目立たせようとするのは子どもじみたことであるのと同じように、言葉においても、珍しい文句や、人のあまり知らない単語を探し回るのは子どもじみた、衒学的な野心からくるものです。

 

エセー〈1〉
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