糖尿病勉強会 2回目

今年2度目の糖尿病勉強会へ参加しました。

最近は、糖質制限を全否定する先生はおられないように思います。このたびの講師の先生(糖尿病教室教授)も、「条件付で可」とのことでした。

(下記のまとめ中には、糖質制限推進派と異なる見解もあります。)

 

糖尿病で最も大切なことは、栄養療法である。成否の80-90%は食事にかかっている。エネルギー量を考えながら行う。

 

②患者背景を考えながら、患者中心の医療を

(ADA/EASD 2018 Consensus reportについての言及)

 

③高齢者には、エネルギー制限一辺倒の指導はよくない。高齢者は栄養失調、サルコペニアの状態が多い。 高齢者は総エネルギー摂取量が低下している。(脂質摂取が減り、炭水化物摂取が増えている。 )

高齢者の蛋白不足はこれまでもたびたび指摘されている体重1キロあたり、1.05g以上の蛋白質摂取が必要。

(説明では、動物性蛋白は腎機能を悪化させる可能性があるので、植物性および乳タンパクあるいは魚を推奨)

 

④運動について 有酸素運動だけでは筋肉量が増えにくい。高齢者ほど筋トレ(レジサタンス運動)を。

 

糖質制限について

肥満があり、腎機能が正常である場合に検討可。炭水化物を減らしたときに、どういう蛋白質・脂質を摂るかが重要。 長期的な安全性に疑問がある。

・動物性食品の摂取が多いと心血管死と癌死亡のリスクが上昇する。

提示された論拠「アナルス・インターナルメディスン」Fungら2010年

Low-carbohydrate diets and all-cause and cause-specific mortality: two cohort studies.

・糖質を減らし、蛋白質と脂質を増やすことにより悪玉コレステロール(LDLコレステロール)が増加し、動脈硬化のリスクが上昇する。

・蛋白摂取増加は腎機能を低下させる可能性。(特にCKD3b以上の人)

 

⑥時間栄養学について

・同じ蛋白摂取量でも、1度に集中させるより、3回均等に分けたほうが、筋肉の合成が多くなる。

・夜おそくに米を食べないほうがよい。食事が遅くなる人は、おにぎりを夕方に食べて、おかずをおそく食べたほうが良い。(CGM:持続血糖測定器を用いた研究より)

・食事誘発性の熱産生・・・栄養のとり方で変わってくる。

 

⑦食べる順番療法は血糖値を下げる。

 

⑧食物繊維、特に大麦の短さ脂肪酸は食後の高血糖を押さえ、腸内細菌そうを整える。

 

⑨朝食を抜くと、昼と夕の血糖値が上昇しやすい。・・・(カロリー制限食が前提)

 

⑩抗GAD抗体について  2型でも測定するべきである(2型糖尿病の10%で陽性)。かんじょ進行型の1型糖尿病を見つける。抗GAD抗体陽性の人にSU薬を用いると、早くインスリン分泌が枯渇するといわれている

急に血糖コントロールが悪くなったとき、やせ型の糖尿病の人、橋本病(合併することが多い)の人、Cペプチドが低い人は特に行ったほうが良い。

 

⑪メトホルミンについて

腎機能が悪い人、高齢者、大酒家にはむかない。肥満型、欧米人型糖尿病の人に。

 

⑫尿検査、とくに微量アルブミンは大切な検査なので、がんばって行うこと。(家でとってきてもらって、冷やして保存でもよい)

 

⑬薬のチョイスは、患者によってことなってくる。(1次予防か2次予防かなど)