鉄について

ORTHOMOLECULAR MEDICINE FOR EVERYONEより

(日本の状況と異なっている部分があると思います。)

成人では平均して3-4グラムの鉄が体内に存在する。その70%は血液中のヘモグロビンとして存在する。残りの30%は骨髄や脾臓に貯蔵される。鉄を多く含む食品は、全粒穀物、肝臓、卵、肉である。乳製品、脂、果物、野菜には少量しか含まれない。鉄のフライパンでは鉄が供給されるが、いつも使われているわけではない。

食物に含まれる鉄の消化管からの吸収率は10%にすぎない。ヘム鉄(肉に含まれる)は吸収されやすく、約30%である。吸収率は、フェリチン(貯蔵鉄)の値、ヘム鉄の量、鉄の必要度、ビタミンCレベル、体内のカルシウム量に依存する。非ヘム鉄の量、腸管粘膜のフェリチン含有量、過剰のリン酸、フィチン酸、タンニン酸は、吸収率を低下させる。EDTAは食品の保存(酵素の金属をうばうことによる)に用いられるが、鉄の吸収を低下させる。

多くのマルチミネラルサプリに鉄が含まれる。これは鉄不足の人には良いが、すでに鉄が足りている人には有害かもしれない。(多くの男性、閉経後の女性)血清フェリチン値がマルチミネラルサプリ服用可否の判断に有用である。

女性の場合、鉄分は過多月経により失われる。男性の場合、主として発汗により平均わずか1㎎の鉄が失われる。胃摘出後、吸収不良症候群の場合、鉄の吸収は低下する。女性人口の10-15%が鉄不足である。

鉄の不足は鉄欠乏性貧血をおこす。しかし、これは医師により見逃されることはめったにない。症状はあいまいだが、ルーチンの血液検査でわかるからである。ヘモグロビンレベルが低すぎる場合、出血のヒストリーがなくても鉄欠乏を疑うべきである。

鉄の内服

オーソモレキュラーメディスンでは、鉄は大量に内服するものではない。これまでは、平均必要用以上に必要とは考えられていない。大量の体内の鉄を排出させることは困難である。適正な量(一日5-20㎎)が用いられるべきである。平均的に男性では10㎎、女性では20㎎である。

少数の特発性ヘモクロマトーシスの患者、過剰に内服する人の場合、体内に鉄が集積する。食品の乳化剤は鉄の吸収を増加させる。男性ではより過剰に吸収しやすい。

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