壊死性軟部組織感染症
日本内科学会雑誌 2023年11月号より
・原因菌はA群溶血性連鎖球菌や、Aeromonas hydrophillia(特に淡水での外傷)、Vivrio vulnificas(特に海水での外傷や肝硬変患者)
・特徴 表在筋膜の脆弱性、灰色の浸出液(dishwater-gray exudate) 、および顕著な膿の欠如を特徴とする外科的診断
・侵入経路 大きな外傷後だけでなく、皮膚や粘膜の軽微な裂傷(裂傷、擦過傷、虫刺されなど)、水痘感染、非貫通性の軟部組織損傷(筋緊張や挫傷など)、または日常的な産婦人科的処置の後に起こる事がある。壊死性感染症には共通の臨床的特徴があるが、進行性細菌性混合性(嫌気性・好気性菌による)壊疽、壊死性蜂窩炎、れんさ球菌壊疽、ガス壊疽(クロストリジウム性筋壊死)、非クロストリジウム性嫌気性蜂窩織炎など、さまざまな病態が定義されている。
・対応 基本的に皮下脂肪組織は血流が比較的乏しく、免疫機構が働きにくい部位であるため急速に炎症が拡大しやすい。そのため原則全例を重症例とみなして緊急の内科的・外科的処置が必要である。その発症率は10万人あたり0.3-15例。死亡率は20-30%程度である。
・部位 四肢とくに下肢や会陰部に好発する。
・局所症状 ①皮膚所見の範囲を超えて広がる強い疼痛、感覚低下 ②虚血による皮膚壊死所見(皮膚内の出血による紫斑、水疱)の出現 ③意識障害、血圧低下、頻呼吸などの敗血症様症状④これらの症状の数時間体位での急速な出現・悪化等を認める場合は本症を疑う。しかし、初期は特に皮膚所見に乏しいこともあり、蜂窩織炎との鑑別が重要となる。