γセクレターゼ阻害薬では被験者の知的能力がかえって低下した

セクレターゼ阻害薬は、AFP蛋白からアミロイドベータを切り出すことができなくする。

すなわち、アミロイドができなくする薬。

アミロイドカスケード仮説に基づいて設計された薬剤である。

人間は、失敗や過ちを認めにくいものであると思う。本当はそれが必要なことであっても。

 

以下引用

 

あいにく、どちらの薬も(γ、β)もヒトに投与すると重大な副作用がもたらされることがわかった。その有害事象があまりに深刻だったため、結果を評価する段階に達する前にすべてのセクレターゼ試験を中止せざるを得なくなった。βセクレターゼ阻害薬の場合、副作用は気がかりなものでありはしたが、被験者の認知状態に関する暫定的な分析の結果、「肯定的な効果を見出せる可能性がなきに等しい」とデータ監視委員会が宣告したためである。一筋の希望すらない。

γーセクレターゼ阻害薬のほうは期待外れの範疇を超えていた。副作用が現れただけでなく、「被験者の知的レベルがかえって低下した」からである。このセマガセスタットの試験結果を説明するワークショップが開かれたとき、私は参加することができた。試験が失敗したばかりだというのに、発表者は結果に肯定的なひねりを加えて解釈し、まぎれもなく注目に値する成果が得られたと述べたうえで、試験はいろいろな意味で大成功だったとの見解を披露した。聴衆を安心させるように、アルツハイマー病の治験薬が認知能力を有意に変化させたのはこれが初めてだとも言い募った。私は心の中でつぶやいた。「これほど口先巧みに情報を捻じ曲げる人間にはお目にかかったことがない。なるほど認知機能を変えはしたが・・・変える方向がまちがっているじゃないか。悪くしたんだから!よくもまあそれを成功だなんて」