三島由紀夫の西郷評

以下引用

ある時、西郷先生が、こうおっしゃった。
「大きなことでも、小さなことでも、正しい道を選んで進み、至誠をもってことにあたるべきで、汚い策略など、一つもめぐらしてはいけないよ。
世の中の多くの人々は、ことが行きづまったら、その時になって、なりふりかまわず、その場しのぎの策略を用いがちで、「とにかく、いま目の前にある大きな問題さえなんとかなれば、そのあとは、その時その時で、工夫しだい・・・・」などと思うものだけれど、あとになって必ず、その策略のひずみが出てきて、そして結局のところ、何もかもダメになるのさ。

正しい道を選んでそれを実行する・・・というと、一見すると、回りくどくて現実的ではないように見えるかもしれないね。けれど、後になってふりかえってみると、その方が、結局のところは、早く確実に成功する道だった・・・・ということがわかるはずだよ。」

三島由紀夫の西郷評

「西郷さん。
明治の政治家で、今もなお「さん」づけで呼ばれている人は、貴方一人です。その時代に時めいた権力主義者たちは、同時代人からは畏敬の目で見られたかもしれないが、後代の人たちから、何らなつかしく敬慕されることがありません。あなたは賊として死んだが、すべての日本人は、あなたをもっとも代表的な日本人として見ています。