2014年2月16日
糖質制限食の安全性についての報告があったようです。当然の結果と思います。(厳密には糖質制限まではしていないですが)
糖質制限食の安全性にエビデンス
NIPPON DATA 80
糖質制限食(低炭水化物食)の安全性をめぐり,活発な議論が展開される中,日本を代表する疫学データベースから,比較的軽度の糖質制限食に関するエビデンスが示された。京都女子大学教授の中村保幸氏らがNIPPON DATA 80の29年間の追跡結果を分析し,糖質摂取率と心血管死,総死亡との関連について検討したもので,第24回日本疫学会学術総会(1月23?25日,会長=東北大学大学院公衆衛生学・辻一郎氏)で発表した。
9200人を29年追跡
わが国では糖質摂取率が欧米に比べて高く、極端な糖質制限は普及していない。そこで、中村氏らは比較的軽度の糖質制限食が心血管死、総死亡に及ぼす影響をNIPPON DATA 80のデータベースを用いて検討した。 1980年にランダム抽出した全国300ヶ所の30歳以上の男女を対象として、秤量記録法による3日間の栄養調査と生活習慣調査、血液生科学検査を行った。追跡開始時の脳梗塞、心筋梗塞既往例を除外した9200人(平均年齢51歳、女性56%)を29年間にわたり追跡した。 食事の評価は、Haltonらの方法に準じて男女別に糖質摂取量を低値から高値に11分位に分類。それぞれ0~10の点数を付け、それらを合計して低糖質食スコア(0-30点)を作成(同スコアが高いほど糖質摂取率が低い)。さらに、同スコアを10分位に分け、糖質制限食が心血管死、総死亡に及ぼす影響について社会経済因子を含めた交絡因子で調整し、Cox法を用いて解析した。
女性では死亡リスク低下
29年の追跡期間中、1171人の心血管死(女性52%)と3443人(同48%)の総死亡があった。総糖質摂取率は総熱量の約60%で、10点を付けた11分位の最低糖質摂取群でも女性で17.3-53.5%。男性で18.8-51.6%の範囲であった。 女性では、低糖質食スコア最低10分位に比べて最高10分位では心血管死のハザード比(HR)が0.59(95%CI 0.38-0.92、傾向のP=0.019)、総死亡のHRが0.79(同0.57-0.93、傾向のP=0.020)と有意にリスクが低下。男女あわせた解析でも心血管死のHRが0.74(同0.55-0.59、傾向のP=0.033)、総死亡のHRが0.84(同0.72-0.99、傾向のP=0.030)とリスクは低下した。 しかし、男性では有意な関連はなかった。中村氏は「男性は外食が多いこと、喫煙など他の危険因子が高いことによる効果の希釈が原因として想定される」と述べた。さらに高度の糖質制限食の安全性については不明だと言う。