アスベストーシス(石綿症)・・・ティアニーのパールより
「アスベストーシスは3つの所見を必要とする。胸膜の肥厚、横隔膜石灰化、そして肺線維症」
この病態において、上記3つの所見は特異的とはいえません。しかし、以前の米国の集団訴訟では、診断に必須であるアスベスト暴露歴のある患者において、上記3つのすべては補償のための必要条件だったのです。
環境再生保全機構のホームページより
石綿ばく露との関連石綿ばく露から肺がん発症までの潜伏期間の多くは30 ~ 40年程度と長くなっています。石綿の累積ばく露量が多いほど肺がんになる危険が高くなることが知られています。石綿のばく露濃度とばく露年数をかけた値が25 ~ 100繊維/ml×年※となる累積ばく露量で肺がんの危険は2倍に増加するとされています。
※大気中石綿濃度が1繊維/mlの職場に25年間(週40時間)働いた場合に25繊維/ml×年の累積ばく露量があったとする考え方
肺がん発生の最大の要因は喫煙ですが、石綿と喫煙の両方のばく露を受けると、肺がんの危険性は相加~相乗的に高くなることが知られています。喫煙しない人の肺がんの危険性を1とすると、喫煙者は10倍、石綿ばく露者は5倍、喫煙をする石綿ばく露者は約50倍とする報告が有名です。この調査対象者は1966年当時の断熱作業者で非常に高濃度ばく露者でした。1983 ~ 1985年に在籍していた断熱作業者では、非喫煙の石綿ばく露者の肺がんリスクは5.2倍、断熱作業者でない喫煙者の肺がんリスクは10.3倍、断熱作業者の喫煙者の肺がんリスクは28.4倍であり、タバコと石綿の共同効果は相加作用を示し、石綿肺の所見のある者に限ると、相加作用を上回る結果でした。いずれにせよ、将来の肺がん発生の危険性を減らすためには、禁煙することが非常に大切です。
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