脂質異常症とスタチン中止・・・江部康二先生ブログより
以下、江部康二先生のブログより引用です。私も、江部先生と同じような考えで患者さんに説明しています。
【質問】・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
46歳女性。LDLが高く脂質異常症と診断され、4年前から薬リピトールを服用。LDL値は70-80。
体が痛く主治医の先生に相談しても、特に異常な数値が出ていないから大丈夫。と言われました。
薬を止めてみたい、糖質制限をして体質改善をしたい旨を伝えたところ、「今の日本の医学は予防医学です。あなたの様にLDLが高い人は一生飲んで生活しないとダメです。国が定めたことです」と言われました。
痛みに耐えて暮らしたくないので、一か月前に服用を中止し、糖質制限を始めてましたが、体調はとてもいいです。
このまま薬を飲まずに過ごしたいのですが、やはり不安もあります。中止しても大丈夫でしょうか?
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リピトールは止めても全く問題はないと思います。
女性でリピトールなどのスタチン系薬剤を内服している人は、欧米にはほとんどいません。
先進国で日本の医師だけが、女性にどんどんスタチン剤を処方するのですが、如何なものかと思います。まして、血液検査でCPKという筋肉が溶けた時の検査が数値的に正常だとしても、体が痛いのは明らかに異常なことです。
リピトールを中止して、体の痛みがなくなったのなら、薬剤の副作用であった可能性は極めて高いです。
「今の日本の医学は予防医学です。あなたの様にLDLが高い人は一生飲んで生活しないとダメです。国が定めたことです」
これは、ひどいですね。
国が定めてなどいません。
利益相反がたっぷりの日本動脈硬化学会が定めたガイドラインがあるだけです。
LDLコレステロールの米国ガイドライン(心臓病学会 2013年11月)
正常 189mg/dl以下 (97%)
遺伝病検査 190mg/dl以上 (3%)
*低下治療目標値は廃止されました
日本動脈硬化学会、特定健診(40~74歳)LDLコレステロールの指標
正常 119mg/dl以下 (45%)
生活習慣指導 120~139mg/dl (25%)
受診勧奨 140mg/dl以上 (30%)
日米のLDLコレステロールの基準に対するガイドラインも、上述のように大きな差があります。
米国ガイドラインで、低下治療目標値が廃止されたのは、極めて大きな変化と言えます。