高齢者てんかんの「非痙攣性症状」

日本臨床内科会誌 2026年6月号より

高齢者てんかんでは、けいれんを伴わない非けいれん性発作が多い。その特徴として、①発作中のことを覚えていない②発作中は開眼しており、呼びかけても反応がない。

③口や手の自動症を伴う。④しばしば、前兆(アウラ)を感じる。⑤発作後しばらく、もうろうとすることがある。⑥睡眠中などに全身けいれん発作を起こすことがある。などが挙げられる。

けいれんが目立たないため、血圧や血糖変動、脱水などと誤認されることも少なくない。てんかんは小児疾患というイメージが残るが、高齢者はてんかんの好発年齢であり、老年人口の増加に伴い患者数は急増している。

典型例を示す。94歳男性。受診1週間前から「食事や排便の仕方がわからない」等の症状が出現した。症状には変動がある。血液検査や頭部CTは正常。認知機能検査(長谷川)は20点。専門家の問診で、食事中に箸でごはんを平らにし続ける自動症が判明した。脳波やMRIで特異的異常はなかったが、抗てんかん発作薬であるカルバマゼピン100㎎/日投与で発作は消失し、被発作時の認知機能も改善した。高齢者に多い内側側頭葉てんかんは脳深部に機嫌があり、通常の脳波で異常を捉えにくいため、詳細な病的な診断の鍵となる。

発作症状は多彩で、「急に攻撃的になり、怒った口調になる」「突然吐き気がこみあげてくる」など、精神症状や消化器症状としてたおらえられることも多い。一方で、個々の患者では発作パターンは数種類に集約される。