23年ぶりに東京都で発生した食餌性ボツリヌス症の1例
日本内科学会雑誌 2023年12月号より引用
64歳、女性。小腸イレウスで入院した翌日に急激な経過で呼吸筋麻痺に伴う2型呼吸不全を発症した。眼症状(眼瞼下垂、外眼筋麻痺、内眼筋麻痺)、四肢の弛緩性筋力低下、自律神経障害も認めたが、意識障害や感覚障害はなかった。食餌性ボツリヌス症と診断し、抗毒素療法を施行し、3か月後に完全に回復した。ボツリヌス症は非常に稀な疾患だが、上記のような臨床所見から鑑別に挙げ、保健所と連携して迅速に対応すべきである。
・集団食中毒の原因となりうる。
・呼吸筋麻痺もある。
・このケースの原因は、自家製のあゆのいずし
・魚類の発酵食品が原因となる事が多い。
・疑った時点で、保健所への抗毒素の手配と食中毒の届け出を行う。
・眼症状や四肢・体幹の筋力低下といった非特異的な初期症状から、脳血管障害やギランバレー症候群、フィッシャー症候群と混同される。
・確定診断は血清や便、原因食品からの毒素の検出によりなされる。