ふらつく・・・90代男性、胃切除後・・・国試に出そう?なケース
7年前に胃全摘術を受けた。たまに近医でかぜ薬や塗り薬をもらっている。
2020年1月初診。ふらつきと全身倦怠感と息切れ。胃切除後の巨赤芽球性貧血と考えビタミンBの点滴を行い、メコバラミンの内服を開始。
ヘモグロビン8.8g MCV 116.3 (大球性貧血) 血小板 12.7万(軽度減少))AST 20 ALT 10 LDH 223 ビタミンB12 122(低下) 葉酸 15.2(正常) 25-OH ーvitaminD 8.1 白血球数 3900
一か月後、ふらつき、全身倦怠感が改善。 ふらつきはビタミンB12欠乏による神経症状ではなく、単に貧血のためと考えられた。
ヘモグロビン9.7g MCV110.9(赤血球のサイズが少し小型化) 血小板 15.7万(こちらも改善)白血球数 6400(増加している)
20年前は、ビタミンB12は注射(筋肉注射)でなければ効果がないとい言われていたが、その後内服でも(しっかり摂取すれば)改善することが判明した。
ALTが10であり、他のB群の不足も推定される。血小板減少はDNAの合成障害のため。(汎血球減少をきたす疾患として有名)。LDHが上昇することが多い。
見慣れていないと、再生不良性貧血ではないかと考えられることがある。 血液内科へ紹介されることもあるが、B12の注射をすると数日後には改善しているのがわかる(網状赤血球比率が著増)。
昔は原因不明で難治性の貧血であり”悪性貧血”という名前がついた。生レバーの大量摂取で改善することから、病因が解明されていった。
悪性貧血の原因は、ビタミンB12あるいは葉酸の欠乏である。
消化器外科医はよくみるケースだろう。
国試には、易しすぎる。
小中学生などの若者、年配者も一定期間で血液検査を受けた方が良いと思う。