多のう胞卵巣症候群が心血管疾患リスクに

メディカルトリビューン誌 2020年9月3日号より

 

生殖補助医療を受けた女性6万人超を9年間追跡したデンマークのコホート研究から、30-40歳代の多のう胞卵巣症候群患者は同世代の非PCOS(polycystic ovary syndrome) 患者に比べて、心血管疾患の発症リスクが高いことが示された。英・University of Cambridge のOliver-Williams氏らがEur J Prev Cardiol(2020年8月2日オンライン版)に発表した。

全年齢では20%のリスク上昇

PCOSは生殖年齢の女性の有病率が6-20%と推定され、過体重や肥満を併発すると糖尿病や高血圧を来しやすく、CVDリスクが高い。PCOSとCVDリスクとの関連を年齢層別に検討した研究は今回が初となる。

Oliver Williams氏らはDanish National assisted reproductive technology-couple Ⅱコホートから、1994年ー2015年にARTを受けた女性を抽出。初回治療時にCVDを有していた2325例を除外した6万575例を2915年12月まで追跡。COX比例ハザードモデルによりPOCSに関連するCVDリスクを推定した。

全体としてPCOS群では、非PCOS群に比べてCVDリスクが20%上昇し(年齢調整ハザード比 1.20、95%CI 1.08-1.34)、共変量調整後も同様の経口が示された(調整HR 1.19、95%CI 1.07-1.33)

年齢層別の解析では30-40歳代のPOCS群は同世代の非POCS群に比べてCVDリスクが高かったが、50歳以上では両群に差がなかった。30歳未満に関してはサンプル数の不足により明確な結果が得られなかった可能性があるという。

以上から同氏は「POCSの女性は、30-40歳代でCVDリスクが高いことが示された。ただし、この研究は不妊治療を受けているスカンジナビア女性のみを対象としているため、一般集団んでの調査が必要」と結論している。

コメント:「バーンスタインの糖尿病の解決」には、POCSが糖質制限で改善することが書かれています。

POCSも、CVDも、肥満も「糖質過剰症候群」と理解すれば、当然の研究結果といえると思います。