緑内障について・・・THE VITAMIN CURE FOR Eye Diseaseより
以下引用
緑内障は眼から脳へ視情報を伝達する視神経細胞が変性し、しだいに死んでいく進行性の疾患である。診断時にはすでに手遅れであることが多い。緑内障は世界的な失明の原因としてトップである。通常、眼球の高眼圧と関係する。このことが眼球の網膜神経節細胞の軸索を傷つける。眼圧は血流による液体の流入により生じる。液体は虹彩の端っこにある小さな管から排出される。強角膜線維柱帯(小管を覆う組織)が閉塞すると、眼圧が上昇し、視神経がダメージを受ける。開放隅角緑内障は、最もよくあるタイプであるが、強角膜線維柱帯の閉塞によるものである。
閉塞隅角緑内障は、虹彩により線維柱帯と小管が閉塞される。これによりレンズを押し返し、硝子体液の房水部への流入を妨げる。閉塞隅角緑内障はしばしば急性発症し、痛みをひきおこす。したがって、医療機関に受診する。開放隅角緑内障では痛みも症状もなく、何年もかけて進行するので気づかれにくい。正常眼圧緑内障も同様に視神経に障害をおこすが、眼圧は上昇していない。これは軸索が弱い、あるいは視神経への血流の問題と考えられている。血管新生緑内障は比較的珍しいタイプであり、線維柱帯の周囲に新生血管ができることにより生じる。糖尿病性網膜症などによる網膜への血行不良の場合にみられる。
緑内障の原因を探るときには、眼球に入る血管と、排出管が注目される。主たるタイプの緑内障では、眼圧の上昇が病因と考えられ、眼圧低下が有効である。網膜動脈の障害は眼圧を上昇させる。動脈硬化や加齢による高血圧が動脈壁にダメージを与える。網膜動脈の血圧が調節できないと、眼圧が上昇する。栄養素の供給も減ってしまう。障害を防ぐためには、血流を保ち、眼圧をコントロールする必要がある。ビタミンC(3000mgから10000mg/日)とビタミンE(400-800IU/日)の併用が血管壁機能保護と緑内障の予防に有効であることが知られている。
すべてのタイプの緑内障において、神経網膜神経節細胞の軸索がダメージを受け、しだいに変性していく。この反応は一般に酸化ストレスが関与している。新生血管による緑内障では強い酸化ストレスが発生し、房水のビタミンⅭレベルは低下している。正常圧緑内障でも同様であり、眼内のビタミンⅭレベルの低下が緑内障の発症に寄与している。酸化ストレスは緑内障動物実験モデルの神経軸索に認められている。そして、フリーラジカルスカベンジャーが網膜神経節細胞の死滅を防ぐ効果がある。軸索のダメージは眼圧の上昇で増加する。高圧になることで、視神経を栄養している網膜中心動脈を傷つける。視神経と網膜の微小循環を障害しているのかもしれない。網膜のニューロンの内部代謝と細胞機能を助けるタンパク質が働かなくなる。神経節細胞は光ストレスなどを含む様々な影響により、少しずつ死滅する。
排出管によるドレナージにより、眼圧は保たれているが、眼の組織、特に網膜・虹彩・水晶体が光線により酸化ダメージを受け、変性して脱落したデブリスにより閉塞を起こす。デブリスは管を覆う線維柱帯まで運ばれ、固まることにより閉塞を起こす。あるランダマイズドスタディによると、房水のデブリスが多い状態を“剥脱症候群”と呼び、繊維の多い緑黄色野菜を多く摂っているものは、デブリスが少なく、眼圧も低かったという。抗酸化物質が緑内障のリスクを低下させると考えられた。繊維柱帯は直接的にも酸化ストレスを受ける。細胞とDNAが障害され、さらにダメージをうける。この線維柱帯の酸化ストレスはビタミンⅭやE、ルテイン、グルタチオンなどの抗酸化物質で効果的に対処できる。開放隅角では線維柱帯の細胞のミトコンドリアが酸化ストレスによりダメージを受けていると考えられている。
緑内障の一般的治療は眼圧の低下療法である。医療の専門家は薬物治療あるいはレーザー治療を行う。眼圧を低下させるのであれば、どのような方法でも(栄養療法でも)役に立つ。マグネシウムは緑色野菜、全粒小麦、豆類に含まれ、血圧を低下させる。チョコレートはかなりのマグネシウムを含み、他の栄養成分も眼圧を低下させる。正常圧緑内障では、視神経の栄養血管がマグネシウムにより弛緩し、血流が増加する。高用量のビタミンC(たとえば1日3グラムから10グラム)は眼圧低下にとても有効である。理由のひとつは浸透圧効果である。しかしながら、細胞膜脂質の炎症や酸化を抑える作用もある。抗炎症作用により、房水や硝子体液のデブリスの発生を防ぎ、房水の排出がスムースになる。
神経節細胞の栄養供給を増加させることで、死滅を減らせれるという仮説がある。光線や酸化ストレスによる活性酸素を、抗酸化剤により減少させることが1つの方法である。別の方法は多種類の栄養を摂取することである。10年かけて行われた高齢女性の観察研究では、緑のキャベツ、ケール、ニンジン、桃は50-70%ほど緑内障のリスクを低下させる。スコアリングの解析では、月1度のキャベツやケールでさえ、緑内障のリスクを低下させていた。これらの野菜には少しのビタミンCしか含まれず、この研究ではビタミンCについては検討されていない。しかし、これらの野菜にはビタミンA、ベータカロテイン、ビタミンB2、フラボノイド、イソチオシアネート、食物繊維、カリウムなどが含まれている。彼らは野菜やフルーツ中のフラボノイドが相乗的に働いていると考察している。野菜やフルーツが有効である正確なメカニズムは不明だが、いずれにせよ、よい栄養が緑内障および眼病に重要であることは明らかである。
ビタミンCや他の抗酸化物質濃度(グルタチオンなど)が緑内障患者の眼内では低下しており、これらの物質が障害を防いでいることが示唆される。αリポ酸、ナイアシンアミド、クレアチニンなどの抗酸化物質が、ミトコンドリアの機能を賦活し、神経節細胞を保護すると考えられる※266。緑内障はビタミン欠乏症ではないが、ビタミンEは緑内障による酸化ダメージを調節することが知られている。ビタミンEは緑内障の発症(網膜動脈の症状)を遅らせ※268、ラットの緑内障モデルでは、ビタミンE欠乏は神経節細胞の死滅を加速させる。おそらくフリーラジカルスカベンジャーの不足による。
266:Osbone, N.N. “Pathogenesis of Ganglion “Cell Death” in Glaucoma and Neuroprotection: Focus on Ganglion Cell Axonal Mitochondria.” Prog Britain Res 173(2008):339-352.
268: Engin, K.N. “Alpha-Tocopherol: Looking Beyond an Antioxidant.” Mol Vis 15(2009);855-860.
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