夏井睦先生コラムより 2022年1月13日

湿潤療法を発見、発明した夏井先生のブログより(枠内)

2010年12月4日 広島のYMCAで講演会をされた。講演会の後、居酒屋で夏井先生とお話することができた。

「世界で誰もやったことがない治療を最初にする時、どんな気持ちでしたか?」と尋ねた。

答えは、「怖くて怯えながら」とのこと。熟考し、絶対に間違いないはずと思いながらも、おそるおそるだった。

二つ目の質問「この方法を外国の雑誌に載せたら(ノーベル賞級なので)、世界的な評価を得られるのでは?」

答えは、「自分は日本人を治したいのだ。そのために研究している。」

この答は、なんとなく想像していた通りだった。

今にして思うと、欧米の評価を得て日本での地位を得ようとする、大学教授や研究者へのアンチテーゼだっただろう。(当時、夏井先生は熱傷学会などとバトル中だった。その後湿潤療法がメジャーになってくると、権威筋は湿潤療法は海外からの輸入品という話にしているようだ。)現在も、アメリカで勤務する医師や研究者が日本のマスコミでもてはやされている。

「女の敵は女」という言葉があるが、「日本人研究者の敵は権威ある日本人研究者」である。

高木兼寛と森鴎外の話も有名。

 

http://www.wound-treatment.jp/index.html#0113-2dより

 

 「モノに執着しなくなった」と書きましたが,現時点で唯一執着しているのは湿潤治療,熱傷・外傷治療です。もっとよい治療法はないか,治療法の改善点はないか,削ぎ落とせる無駄な部分はないか,もっとスマートに治療を説明できないかと,一日中そればかり考えています。趣味と仕事が完全一致しているようなものです。
毎日治療例を追加しているのも,後の医者たちが治療に困ったときにここを見れば似たような症例がかならず見つかるだろうと思ってのことです。
毎日症例を追加すれば1年で365例になり,10年毎日続ければ3650例になります(ちなみに現在は3800例を超えました)。それを毎日20年続ければ7000例を超え,25年間毎日続ければ1万例を超えます。多分,その頃には死んでいるでしょうが・・・。