高脂血症治療薬(スタチン)と末梢神経障害
薬剤性の神経障害は、抗がん剤(ビンクリスチン)や免疫抑制剤(インターフェロン、タクロリムス)などが多い。抗結核薬イソニアジドは、ビタミンB6の吸収を阻害して末梢神経障害を起こす。
高脂血症に頻用されるスタチンは、筋肉障害や肝機能障害をしばしばおこす。末梢神経障害は頻度が少ないので、あまり注意されていないかもしれない。(50歳以上の2200例に1例の発症との報告がある。)
そもそも、そんなもの使わなければ・・・。という意見もある。
https://www.mhlw.go.jp/topics/2006/11/dl/tp1122-1c15.pdfより引用
①臨床症状:HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)は骨格筋障害が広く認知されているが、末梢神経障害も出現する。四肢末梢の疼痛、異常感覚、感覚低下と脱力を主徴とした多発ニューロパチーが出現する。感覚低下は表在感覚のみならず深部感覚にもおよび、筋力低下もみられる。腱反射は全般的に低下する。服用中止後、数ヶ月で軽快する。
②電気生理学的検査:軸索変性が示唆される。
③発症キジョ:明らかでないが、いくつかの仮説が提唱されている。1.細胞内ユビキノン(コエンザイムQ10)の低下に伴うミトコンドリア機能障害、抗酸化作用の減弱、 2.細胞内ファルネゾール/ゲラニルゲラゾール低下に伴うタンパクのプレニル化修飾の減少に関するアポトーシスの誘導 3.セレン含有タンパク精製抑制による構造保持障害 4.グルタチオンペルオキシダーゼやチオレドキシン還元酵素などの不足による神経細胞のホメオスターシスの破綻、などの仮説があり、軸索変性に関与するとされている。