プライマリケア医のための糖尿病診療入門より

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2018年10月29日初版。ニッケイメディカルオンラインの記事を基にかかれた書籍。若手ドクターの間でも、大変評価が高いのだろうと思います。

なぜ血糖をコントロールしないとダメなのかといえば、手術時の感染症のリスクがあるから、ですよね。血糖が250mg/dl以上になると白血球の貪食能が落ちるといわれていますが、250mg/dl以上ということはHbA1cに換算すると、9-10%程度になります。8%程度であれば、それよりもさらに低い値ということですから、十分大丈夫だろうといえるはずです。

術前に血糖値を下げる理由のもうひとつは、創傷治癒が遅れるからだと思います。でも、いつか外科医の先生に伺いたいと思っているんです。7%以下にしたときと9%で、どの程度の差があるのか、と。あまり差はないだろうと私は推測しています。HbA1cを7%以下にするのは非常に大変なんです。8%だってギリギリなんですよ。

コメント:感染症についても、創傷治癒についても、ざっくりした感じです。

 

特に最近増えているのがαリポ酸によるインスリン自己免疫症候群です。

コメント:αリポ酸で、インスリン抗体ができることがあるようです。

飢餓状態やアルコール依存症患者の低血糖ではブドウ糖前にビタミンB1を投与。

コメント:めったにないので、忘れそう。

高浸透圧高血糖症候群
HHSは、著しい脱水が先行し、循環不全を来たす状態を指します。高齢者に多く見られ、軽度な2型糖尿病患者のほか、中にはHHSを起こして初めて糖尿病であることが判明する高齢者もいます。高齢者は、口渇中枢の機能低下により、血漿浸透圧が上昇しても飲水行動がとれないことがあるため、HHSを起こしやすいのです。

コメント:感染症を契機に痙攣や、片麻痺などの神経症状を来たすらしい。脳卒中との鑑別が必要になる。

メトホルミンで比較的多い副作用は胃腸症状(悪心、嘔吐、食欲不振、下痢、腹部膨満など)です。副作用の発生を防ぐには、1日500mgから使用を開始し、漸増していくとよいでしょう。ただし、メトホルミンを長期使用する場合は、ビタミンB12欠乏に注意が必要です。特に貧血または末梢神経障害がある患者では、その原因がビタミンB12欠乏である可能性があります。「Standards of Medical Care in Diabetes」では、定期的なビタミンB12量の測定を考慮することを勧めています(エビデンスレベルB)。このメトホルミンの長期使用によるビタミンB12欠乏の懸念は、以前から指摘されてはいましたが、ADAの2017年版から記載されました。

コメント:勉強になります。

 

従来から日本では広く使用されてきたSU薬は、遷延性の低血糖を生じる危険性があり、体重増加を来たすこと、そして心血管病変を抑制するエビデンスがない点から、少なくとも第3選択以降として最小量から多剤と併用し行くのが望ましいでしょう。また、チアゾリン系薬剤(アクトス)は、心血管イベントを減らすエビデンスがなく、体重増加を来たし、副作用が多いこと(浮腫、骨折増加)に加え、膀胱癌のリスクもあるため、なるべく使用すべきではない薬剤となっています。

コメント:アクトスも昔は夢の薬のように大宣伝されてました。

 

SGLT2について

また、糖尿病患者ではSGLT2阻害薬の服用により、約100g/日のブドウ糖が排泄されるため、約400キロカロリー減となり、約2-3キログラムの体重減少効果が期待できます。一方、尿糖の排泄量は腎機能(GFR)に依存するため、腎機能が低下した患者では効果を発揮できません。腎機能がeGFRで45-60ml/分になると効果は半分になり、45ml/分未満になるとその効果は認められなくなります。したがって、腎機能が低下している患者にSGLT2阻害薬を使用しても、血糖改善効果は期待できません。

コメント:以前から不思議な点は、100グラムの糖質摂取を減らすのが先だと思うのですが。

ほぼ正常血糖のケトアシドーシス

SGLT2阻害薬の処方により、ほぼ正常血糖(180mg/dl程度)にもかかわらずケトアシドーシスを生じた例が報告されていることも忘れてはなりません。

投薬により尿糖排泄が促進されることで糖質がエネルギー源として利用できなくなると、内臓脂肪が代替エネルギーとして消費されます。肥満症例では内臓脂肪の減少が期待できますが、糖新生が活発化することで脂肪分解、蛋白質分解の亢進が起こり、ケトアシドーシスを誘起する場合があります。典型的な糖尿病ケトアシドーシスとは異なり高血糖を必ずしも伴わないため、見逃されがちです。全身倦怠、悪心・嘔吐などの症状がないか、こまめに確認するようにしましょう。

特に、極端な糖質制限食と本剤の処方を併用している患者では、エネルギー源として使用できる糖たより少なくなるため、ケトアシドーシスを生じるリスクが高くなります。両者の併用は避けましょう。

コメント:非常に危ない状況です。できるだけ、薬を使わないことが正しいと思います。

・摂取カロリー制限か?糖質制限か?

糖質については、私は「穏やかな糖質制限食」を推奨しています。「穏やかな糖質制限食」では、1食あたりの糖質は40gが目安です。ごはんで軽く半膳ぐらい、パンならば薄切り1枚です。これらを1日3食取ると、120gになります。ごはんやパン以外からも糖質は体に入ってきますので、1日合計で130g程度の糖質を摂取する計算となります。一方で、「穏やかな糖質制限食」を行う際には、カロリーはあまり気にする必要はありません。むしろ野菜、魚、肉はたくさん食べるべきで、私はよく「幕の内弁当を選び、ご飯は半分残しましょう」と、提案しています。

食品交換表でも、摂取エネルギーについて言及されていますし、カロリーが気になる患者もいるかもしれません。ですが、米国糖尿病協会(ADA)は、カロリー制限、糖質制限、どちらでも有用としています。ご飯が大すきな人は、ご飯を減らすだけで、血糖値は下がります。一方、ご飯をあまり食べない人は、カロリー制限食でバランスよく食べましょう、ということになります。糖質を1食10g以下に制限する「極端な糖質制限食」を推奨する人たちもいますが、長期間(10年間)でのエビデンスはありませんし、また普通の人ではそんなに長くは続けられません。つまり、穏やかな糖質制限食、従来のカロリー制限食、どちらでもよく、その人にあった食事療法を選ぶことが大切です。

 

食事のバランスについて、日本糖尿病学会では、「糖尿病における3大栄養素の推奨摂取比率」として、「一般的には、炭水化物50-60%(150g/日以上)、蛋白質20%以下を目安とし、残りを脂質とする」としています。ただし、ADAの診療ガイドラインには、「栄養素の推奨摂取比率はありません」と書いてありますので、この比率をあまり気にする必要はないと思います。

コメント:緩やかな糖質制限はよいと思います。ただしこの指針は、すでに日本糖尿病学会の方針に沿っていません。アメリカ糖尿病学会の指針を採用するばあい、「毎食40グラムは糖質を摂取する」という話にはならず、論旨が一貫していません